数寄モノ 石山政義の時空遊泳 その146 満ち足りた形姿 三島徳利 

f:id:izakamakura:20190312080300j:plain

三島徳利 李朝初期(16C)


このあいだ、へたゴルフにいってきた

昼、中生ビールやって、止せばいーのに静岡の名酒、臥龍梅冷酒1合飲んで後半に臨んだものだ

そーしたらドライバからアイアンまでが全部右へすっ飛んでいく

いわゆるシャンクってやつ

まあ、出るべくして出たから本人は納得済みのサッ、ノヨイヨイ

ところが後ろのプレー連が、それをヤルたびに「ア~!」「エー!」とか絶叫する

全部で21回、飽きもせずよく叫ぶよナア~っと感心、ってゆーかア~

つらつら思うに、まさかこんな真面目な御方がとか(関係ないか)

こんな場所で出るか?とかサ

ゴルフってーのは、プレーごとに現場と環境が違うから記憶がリセットされる

新たな観賞対象としては新鮮ってことなのだろうか

ものすごく真剣に絶句してるンで、なんかうれしくてとっても愉しかった

まあ、こちとらは、ノ~天気だからサ、ハハッ

前半後半で合計17個のタマを失くしたぞイ

お蔭さまで帰りのバックは軽くてルンルンなのサ

さてと、ハナシは変わってここにアップした写真

古美術家、特に酒器好きならおもわず喉もとが鳴りだし、手も震えだすのではないか

低く、しっかりした垂直高台から横へぐーっと広まった裾回り

そのふっくらとした裾は高麗時代全盛時の美しさを彷彿とさせる

そして肩から首にかけて鋭い流線を描いて一気に絞っていくが

口辺下からは輪花の如くほぼ水平に大きく開く様は確かな技の完成度を感ずる

且つ、口元は反り返り、いわゆる捻りかえしが頗る力強く、器全体の緊張感を醸し出す

これを制作した陶工は裾と口辺とで絶妙なバランスをとったのだろう

 圧巻は徳利全体に表れた陰刻と陽刻の名残である印押白泥技術だ

高麗時代のデザイン技術は無地→陰刻→陽刻→象嵌→印押しへと変化

印押しそのものの技術は当時としては新しく、整然として精密、且つ幾何学的だ

それが李朝に入ると次第に簡略化され、雑になっていく

さて、この徳利

気が利いてるのは高台と首回りの二ヵ所に印花文様を表しているところ

それ以外は簾文様がビッシリ、ってのが嬉しいではないか

日本では桃山時代に輸入された当時からこの文様を三島文様と呼称してる

それにしてこの文様、単純なようだが捉えどころがなく茫洋

その文様は、とてもリズム感があって飽きがこない

これほど大胆な曲線を描けば、ともすると全体が崩れるものだ

が、ギリギリのなかで均整を保ち、なお且つ、優美な徳利に仕上げっている

世の中、そう何本とはないのではないか

 酒容量としては 2合ちょっと、ってところかな

懐石料理での預け徳利、はたまた骨董仲間と談義するにはもってこいのシロモノ