数寄モノ語り その165 みちのくに骨董ロマンを求めたが・・・

古美術は欲と遥かなるロマンがあってナンボのもん

それは奥深くその世界に足を踏み込んだからには

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明治時代の染付皿「THE IRONS TONE CHINA・MATSUMURA&CO」15㎝×15㎝

決して抜けられない愉しくも恐ろしい世界

そこは想像を絶する化け物もいれば

御慈悲に満ちた仏様、天子様もいる

地獄に落ちるも天国に導かれるも

すべて本人の天性能力と経験と不動の決断だ

ダメなモノはダメ!っとバッサリ

イイものは「買ったアッ!」と歓喜の声

決めたからにはサクサク現金払い

古美術商にはタマらない

古今東西、それは絶対に変わらない

そう、一般解釈では到底理解できない

それはとても狭く、厳しい

が、時空を超えた遥かなるロマンの世界でもあるのだ

でと、東北はみちのくのはなし

友人(ご当主)の実家は江戸幕末から明治にかけて大繁盛した北前船の船主とか

とくればお蔵がいくつもあり財宝だの美術品がザクザク

惜しむらくはその蔵を壊して新しい倉庫作るときに骨董屋が入ったとか云ってたが

当時は一世風靡したわけだから何か出るだろうと僅かながらの期待を胸に

能登汲んだりしてきたまではよかった

東京を車で出た骨董屋と現地で待ち合わせして倉庫を案内

四つ椀から5段お重、折敷等、大量の漆器をはじめ

伊万里、平戸、はたまた京焼の大皿から豆皿までと

全部で58箱也

骨董屋はそれらを一瞥、やおら2階へ上がってガサゴソ

下ろしてきたのは当時の絵葉書だの手紙、オモチャ、燭台、それと様式机

まさに大山鳴動して鼠一匹

そして予め呼んでおいた赤帽屋の車と彼のワゴン車にそれらを振り分け

なにがしかのお金を置いてさっさと帰っていったのだった

我々は半ば唖然

っと、いうかこれが現実なんだ、と、時間経過とともに納得した次第

で、残ったモノから記念としてご当主と5枚づつ分け合ったのが写真のお皿

全部で50枚あるが当時は輸出用として高価なものであったのではないか

などと かすかなロマンを抱きつつも、思いっきり空しさを感じたみちのくであった