本日は前回の語りをお互いに忘れないうちに、風俗営業許可申請顚末の続きといきましょうか。

もー、暑いし、クタクタだ。今日の仕事はきつかったなと想いながら、最近愛用の徳利にビンビンに冷えた出羽桜の吟醸を流し込んでと、酒肴は冷やしトマトとなぜかピスタッチオ、パキパキ割って、口にほうばるなんざ、なんか小気味いいよなア。あとに引きますがネエー。

於鎌倉拙宅　堅手小徳利　対する本日の酒盃は粉引盃、プツプツと粉を吹いた感と高台裾から口辺に立ち上がる鋭角なラインに感情の移入を試みる

さて、前回は当職とドクデ・シビレッタさんがＨ警察を訪ね、風営担当のＭ氏と書類の審査に入るところまでお話しました。
通常、風俗営業許可申請を申請人でなく、行政書士が代理・代行している場合はその行政書士さんと生活安全（生安）担当との一騎打ちとなります。そして審査の最後に申請人本人との面談があり、本人確認と同時に風営法に関する簡単な説明と開店前後の注意事項を分かり易く手取り足取り説明して、ハイ終わり、なんですが、なかなかどうして、現実は、そう簡単にはいかないのが世の中。
で、早速、Ｍ担当に「宜しく御願いします、今日は商業地域でもかなりうるさい地域の酷税区貪欲町での風営２号申請の審査を御願いしたいと存じます。申請代行行政書士の石山です」と、当職の旗印であるデッカイカバンから、ガサゴソ取り出し、Ｍさん側の机上に厚い書類をスッと置いたものだ、ページにして３０ページか。
Ｍ担当は書類に目を通す前に「ハイハイ、貪欲町ですかア、先生も大変ですでねエー、あそこは入れ替わりが激しいし、街頭じゃあ、ホスト連の客引きが目立ち、周りで真面目にやってる風営業者が迷惑なんだネ。まあ、先生ニャー、関係ないですけどネ、ヘヘッ。で今日はホストクラブ営業じゃないですよネエー」。ヘーッ、のっけから言ってくるよなアー、ジャブ一発ってところかな、すかさず、こう切り返したもんだ「いやいや、今日の申請はフツーの二号クラブですから大丈夫ですし、ややこしい案件ではないと思いますが、そーですかアー、しょうがないですねエ、ホスト連も。警察の方も取り締まりで大変だなあ、ご苦労さまですウ。」そして「御忙しいのにすいません、御迷惑を掛けないように書類としてはわかりやすく洩れがないようにセットしたつもりですのでチェックのほど御願いしますウ」っと、するりとジャブを避けたもんさ。
Ｍさんは当職の低めの態度にやや気を良くし、ニヤッと笑って「そー願いたいね」、と言いながら書類に目を落とし、ポイントを抜かりなくススッと捲りながら確認すること１０分、「いやアー、先生、今日の申請人も外国人ですか、外国人が多いネー、申請人は勿論今日来てるんでしょうねえ、」「ハイ、控え室で待機してますが呼びましょうか？」「いえ後で結構ですよオー、じゃ、先生、書類はだいたい揃ってるようですが、ちゃんとチェックするんで、ま、どうぞ、控え室でお待ちを、なにかあったらお呼びしますんで、そのドクデなんとかさんに認可までの注意事項等でもレクチャーしておいてくださいヨー」、ってことで当職は控え室でドクデさんと待つことに。
時間にして２０分、黙っているわけにもいかずドクデ・シビレッタさんととりとめもない話を聞いたものだ。なかでもビックリしたのは日本人旦那との由来、ここでは記すことはできませんが、複雑怪奇？で、いくら国ごとに法律が違ったにしても、ウーン、わからん！
でと、奥からＭ担当が「先生―、ちょっといいですかアー、」ってきたもんだから審査室に入ってみると、当職作成書類に赤い付箋が二箇所、即ち半径５０メートルの患者入床施設の有無に関する表示方法の一部差し替え要請とメニュー表の追加があったものの、他に関してはクリアということで意外に当職を持ち上げて「先生、図面、いいですネー、設計事務所作成みたいで色分けもきちんされてね」、一呼吸おいて「でさ、この地域ネ、しょっちゅう巡回ってんからネ、御願いだから、認可するまでは、分かってますよね、センセー」、「ハイ、有難う御座います、指摘書類に関しては早速、明日にでも作成して持ってきます、許可までの営業行為の自粛は申請人にもビシっと言っておきますので、えー。」Ｍ担当ば登録受付簿に記帳しながら「そーだよね、じゃ、一階で免許税を払ってもらったら、ドクデさんを呼んでくださいネ」
よし、これで風俗営業２号申請の第一関門突破だぞっ、と内心ほくそ笑みながらウヒヒッときたもんだ。素早く免許税を払って、気も新たに、控え室でもう一度ドクデさんに言ったもんだ、「イーですか、申請人と管理人はドクデさんですから、コソコソせず、自信と自覚を持ってハキハキと質問に対応して下さいヨ」っと言ったら、ニコッと笑って「シェンセー、ケイサツのひと、怖くナイネー、ケイサツ、ガサ入れ、何回モあたヨーッ、平気ネ」、だろーなアー、そーして、したたかになってきたんだなあッ、って感心してはいけない、付け加えて「先方は必ず、採用する従業員のホステスの国籍と就労ビザの件、客引きの件について突いてきますから素直に頷いて、反論しないヨーにネ、理解したって感じでネ、たのんますヨ」、またニコリとして「ウン、ワカテル、ワタシ、黙テルネ」、あちゃッ、違うだろって「でなくて、ちゃんと正面向いて、やってはいけないことはいたしません、って覚悟でキチっと喋って下さいってことですヨ、もーッ」、「ワカタッ、シェンセーの言うノ、ワカタネ」。って言いながら後ろ向いて鏡を取り出し、パタパタ化粧直しに余念がない。ったく、わかったのかなア、まあ修羅場潜って慣れてるし度胸もありそうだし、任すしかないや、ってことで審査室に入ったものだ。
審査室に入室するとＭ担当はドクデ・シビレッタさんを見て、「ヤアヤア、ご苦労さま、座って座って、センセーは後ろのほうに座っていてください」っと続けて「ドクデさんですか、変わった名前ですなアー、まーいいか、パスポートと登録証見せてネ、ウン、配偶者ネ、御主人元気ですか？まっいーか、はいお返ししますヨー」。そして「ドクデさん、ちょっと聴いていいかな、この御仕事、経験あるのかなアー、？」、ドクデさんはちょっと戸惑い乍らも長いブロンド髪を上げながらこい言ったものだ「エー、アリマスネ、経営ないけどネ、管理したことあるネー、あとホステスもやたネー、でも、ケイエー、ムジュカシーこと、ワカル、けど、いけるネー、ハハ、ウフッ」だって。いいこと言ってるなあ、よしよし。
「あーそーッ、じゃ、大丈夫だねエ」と、安心した様子でＭ担当は、次に申請地である貪欲町の環境、店舗の大きさと、型通りのことを聞いてましたが、そろそろ来るかなと思ってたら、案の定、Ｍ担当は「ところで、ドクデさんのお店の女の子は申請書では１８人って書いてますがみんな大丈夫ですかア、わかってますよねエ、ちゃんとオー」、Mさん謎かけたな、っと、ドクデさんはチラっと当職の顔を見たがおもいきったように「ハイ、わかてマス、みな、日本人配偶者ネ、あと永住権持てル、他のヒト、来ていらないネ」、よし、いーぞオ、さらに彼女は「警察のヒト、確認くる、知てるネ、従業員名簿、パスポートコピー付ける忘れないネ、守るネ」。ドクデさんの喋りと動きを冷静に見聞きしていたM担当は「そーそー、必ずやってください、でないといまは両罰でドクデさんも従業員もやられっすからネ、入管法と都市条例の二つからきますから、たのんますヨ、このまえも学生１０人が働いていたのがわかって、廃業になっちゃったのがありましたから、本当に頼みますヨ、先生からも言っておいてネ、それから許可まで４５日から５５日だから営業しちゃダメだよ、いいですか」、「ハイ、ワカリマシタッ、やらないネ、しかりと、ほーりつ守るスネ」、ちょっと、守るスの「ス」が余分だけど（なんで外国人は関東、関西、中部語がゴチャまぜになるんだろーッ）、うん、マアマアの対応だ、っと胸をなでおろしたものだ。
あとは細かな点での注意と留意点があり、ドクデさんはお役御免ということでニコっと笑みを含んで控え室に戻っていき、再び当職の出番、M担当「センセー、ドクデさん結構わかってるみたいですネ、でもあとでちゃんと言っておいてくださいネ」、「はい、わかりましたMさんからも言ってくださったので本人も頭に焼き付いてるとおもいますが、帰りにもう一度言っておきます、今日は有難うございました」。
「じゃ、浄化協会との立会いの日にちを決めましょーかア、今週はもう、いっぱいみたいだから、来週のうち都合の悪い日はありますか」、「いえ、特にないんで合わせられますから、できれば早い日がいいですが・・・・・」Mさんは電話をピポパしながら「うーん、でも協会の方は忙しいからなー、もしもーし、あー、どーもオ、こちらH署の生安のMですがアー、御世話になってますですウー、酷税区は貪欲町で風営二号を一件願いますウ、代理代行は行政書士の石山政義センセーです、ハイー、で、日ですがア、」とかなんとかやって結局８日後の水曜日午前１０時にH警察署、浄化協会、そして当職とドクデ・シビレッタさんが現地で立会いということになったのですが、これがまた予想だにしていなかった事態が発生したのです。
そんなことは露とも知らず当職とドクデさんはMさんに次回の立会いでの再会を約してH署をあとにしたのであった。
請う次回に御期待を
当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義　法務・行政事務所
所長　石山政義　
Te l03-3317-3388 fax 03-3317-1419
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