行政書士石山政義による法務にキラリ その33

行政書士による風俗営業許可(風営法)手続にキラリ(3)

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於鎌倉拙宅 どんよりとした薄灰色の空を背景にした標高600メートルに満たない山々には薄い霧雨がかかり、この写真から日本特有の空気の湿りを肌で感じることができれば幸甚
2008年7月も半ば、梅雨もそろそろ上がって欲しいなとは早朝、眼下に見遣る鎌倉の町並みを挟んだ鎌倉連山を遠望する季景を見遣りながらおもうのだが、たとえこの季景と時節が年々変わらぬ当然の移ろいだとしても、いまを生きる側としてはあらたなる一風情として、しかと受容しなければいけないし、悠久の歴史のなかの一点の水墨画、数行の詩として確実に自身に刻まなければならない大事さを、この一写真は教えてくれるかもしれない。
と、あんまり梅雨が長いのでおもわず瞑想してしまいまして、失礼仕りました。
でと、第二話にはH警察署での審査、受付までを、結構突っ込んで語ってきましたが、なんだかんだと喋っているうちに、第三話になってしまいましたが、にしても、ツラツラ考えるに風俗ってのは人間のドロドロした三大欲の一翼を担っていることを忘れてはいけません。
したがって、いつの時代でも公権力の介入は時として抑えのきかない人間の欲望の規制に関わってくるのはむしろ必然かなとおもうものの、効き過ぎると、お互いがエスカレーションして逆効果になり、これまた必要悪に陥ってしまう危険性を孕んでますから難しい。本件の第三話、というよりいつか語る第四話なんざまさにその典型かもしれませんネ。
御待たせいたしました、いよいよ完結編です。
じゃ、いきましょう!
当職とドクデ・シビレッタさんはH警察をあとにして、まだ日差しが高い下り道を歩きながら来週水曜の浄化協会の実地調査に対する事前対応について話をしたものだ。
所謂、チーママになることが天から降って湧いたようで現実的になったドクデさんはなんとなく嬉しそうに「イシヤマシェンセ、よかたネー、感謝するネー、アラ・カセギにもモー、さき電話したヨ、喜んだネー、警察のヒト、い、ひとネ、キャキャッ」、だって。喜ぶの早いンだよなア、とおもいながら、こう、水を差したもんだ「よかったですネ、でもネ、これからが大変なんですよ、水曜日の実地検査のクリアには自信ありますが、ただ、内装屋が、なんか弄るって言ってましたから、当職が作成した図面と配置図から逸脱なけらばな、と。ちゃんと御会いしたときに承知してもらってるんですがネ」、と懸念を述べたもんさ。ドクデさんは「出鱈目装備さんのことネ、あのヒト、プロね、前にモ、たのんだネ、アー、駅着いた、じゃネ、水曜、またネ」って言って別れたのであった。
そーいえば、出鱈目内装の社長と、店での打合せでのなかで、内装の音響施設配置を移動するとかしないとか、ピアノを置くとか置かんとか言った言葉が一瞬脳裏をかすめたが、当職の頭ん中は既に3時に予定の在留資格変更に関する日本人経営者からの依頼案件のことに切り替えられて、そのことについては特に気には留めなかったのが響いた。
で、いよいよ水曜日、浄化協会は10時と言えば9時半に来るという通例にしたがい、当職もその先のさらに30分前の9時に「ザ・メイドノ・ミヤゲ」(前回まで店の屋号を伏せておきましたが)、っと、ピンクとゴールド書かれた、いかにも色っぽそうで、とんでもないみやげかなんかが出れば、まだいいほうで、地獄までもっていかれそーな屋号が書かれているドアをノックして店舗に入ってみたもんさ。
ドクデさんは奥のボックスに一人で座って、相変わらずタバコプカプカ吹かして、当職をみて、ニコリとして女性独特の、口を横にしながら煙りをヒュー、と一気に出し切って「どもウ、今日はよろしくネ」だって。目で挨拶するもそこそこ、周りをみると不安が的中。なんてことだ、その音響装置だの、ピアノだの照明装置の大きさと配置がガラリと変わっているではないか、さらに、撤去してと御願いしておいた客室ソファ−間の高さ制限を越えるガラス張りもそのままだ。アっチャアー、頭痛いー。
こりゃ、当然に指摘されるし、図面の差し替え、場合によっては客室面積の訂正も。ここは、もうシラバッくれるしかなく、いまさらどーのこーのは出来ないのだ。と、冷や汗かいてるうちに、H署のMさんが到着、5分もしないうちにまたドアが開き「どーもー、お邪魔しますヨー、風営2号申請の御店はこちらですかアー」、来たなア、ドアに向かい「あ、ご苦労さまです、朝からすいません、行政書士の石山と申します。あれ、この間、「がっぽり町」の2号申請のときに御会いしましたよネ、奇遇です、今日は宜しく御願いいたします、お手柔らかに御願いします」っと調子よく言ったもんだ。さすがに手揉みはしなかったけど・・・・
「そーだったかなア、あー、思い出しましたア、あのホストクラブですね、H・Cの連中は荒いからネッ、ハハ、こちらこそ御願いしますヨ、じゃ、大丈夫ですよねエ、早速いきますかア」、っと言いながら椅子に座り、既に本部に回ってる当職作成の書類を出し、図面広げながら計測にかかったものだ。協会の方は必ず二人で行動し、片方が喋り役、もう片方が抑え役とだいたい決まっています(漫才術ではありませんが)。我々が使っている赤外線計測器等を使い、最初こそ冗談に「屋号、いいですネー「ザ・メイドノ・ミヤゲ」かアー、わくわくするなア、ハハ」っと言いながら、こっちだのあっちだの動き回ってるうちに、だんだん真剣になってきたのだ。
そして、やっぱりきた、「あれ、先生、このステージ、図面と違うんじゃないのかな、スポットライトの位置もおかしいし、ステレオとミキシング、ピアノもだけどな、どーなってんの、変えるんなら図面引き直ししてくれないかなア」、すかさず「いえ、昨日機種の入れ替えと床の張替えがあったんで、変更はありませんし、もとに戻しますから図面通りにしますので、えー、大丈夫です」、「本当?間違いないかネ、じゃ、写真撮って、あとでH署のMさんに出しといてね」、「えー、わかりました、キチっとやっておきます」。
こりゃ、まずいな、必ず言われるガラスの件は先回りにこちらから申告してしまえ、っとばかりに「すいません、そこの客室のガラス張りは、いまは張ったままで高さ制限に触れますが、ネジ式になっており、今、工事人に手配中ということなんで、いまの時間に間に合いませんでしたが、本日中には撤去します、これも写真撮って、Mさんに報告させてもらいますが・・・・」っと切り出したところが「ん!?そーだよねエ、これじゃ、ますいねエー、こんなものあったら密室扱いになっちゃうから許可下りないよ、先生、わかってますよネ」、ヒエーッ、出たアー、伝家の宝刀がアー、うーん、そして、こう切り替えしたもんだ「居ぬきだったんで、管理人さんもそのままにしていたよーです。当然、法に抵触するんで、撤去を管理人と内装屋さんとの先日の打合せで調査の日に間に合うように言っておいたのですが終わってなかったようです、新たに内装したということではありません。必ず撤去させますし、それによって椅子、テーブル等の配置図が変わるということもありませんので宜しく御願いできれば・・と」。
しばらく、その部分を計ってガラスをトントンたたきながら「フーン、新たに設置したとしたらまずいよネ、たしかに、ネジで全部外れるようだ、これが全部で4箇所だな。じゃ、先生、わかりました、必ず撤去してください、先生が言われるとおり写真を頼みますヨ、それとスポットと照明が絞れるダウンライトスイッチは設定してないですよね、明りのシボリが一定しないんで、真っ暗はご法度って、先生―、わかってますよネー」、ギクッ、実は事前チェックでダウンスイッチがあり、それを取り外すか、完全固定させるか、これも出鱈目内装屋さんと相談してどちらかにしておいて下さい、って御願いしてあったのだが、結果的にはそのスイッチ部分を壁と同系色のカバーで、きれいに完全に覆っているだけなのだ。しかし、完全密閉して覆っているのだから、固定しているのと同じではないかと頭グルグルまわして理屈作り上げ、自分で納得して、えーい、ままよってなもんで「はい、協会の方々が今、店舗内で確認されている通りのスイッチが全部と思いますので、そのへんは大丈夫と存じますが、何かあれば指示にしたがいますが・・・」と言った。うわアー、怖、でも気付けば素直にそのとおり言えばいい、と、腹を括ったものだ。
突っ走りの担当はそれに気付いたのか、ないのかは不明だが「あそー、スイッチはだいたいいーでしょう、あとは、と」、しめた、と思ったのも束の間、今度はトイレに行く通路と客室の通路との線引きの取り方を言い出した、「先生、ここの線引きは斜めから引いて三角形で面積を割り出してますが、通路の角から角まではアーチに微妙にずれてるでしょ、ここは面積出し直してくんないかな,そー、円周率を利用してサ」ってさ、細かいこと言ってくれるよなア、でもスイッチの件もあるし、ここはゴネてはいけない、ってことで「そーですか、迷ったんですがネ、でもいいです、そこは計算し直して客席図面と面積図を差し替えます、数学忘れちゃってますが、なんとかやります、ハイ!」って言ったら「ハハ、そーだね、そのほうがいいネ、面倒だけど一つたのみますヨ。あとは先生の書類通りだな、計算式も合ってるし、しっかり色分けされてよくできてますね」と、椅子に座り、Mさんも交え、しばし雑談。
この店、高級だからタケーだろーなあ、とか、店の名前が意味深んでイイヨなあ、とかなんとなか和やかな雰囲気のうちに過ぎ、最後にドクデさんが呼ばれて営業の注意事項の説明を受けているのを傍らで見ていると「ハイ・・、エー、わかたでス、ありがとござマス・・」、へーっ、前回とは打って変わって、なんか、しおらしいなアと感じたものだ。
そして、全部の実地調査が終わり、帰り支度をしながら「じゃ、先生、さっきの写真と図面の差し替え、約束しましたよ、それが出ないと、許可が遅れますからアー、ネ!」って釘を刺されて、彼らは帰っていきました。
フーッ、終わったぞ、ここまで約1時間、ドサっと椅子に座って一息ついてると、ドクデさんが言ったものだ「シェンセー、ありがとゴゼマシタ、これで、営業できるネ、感謝ししてるネ、アラ・カセギも喜こぶネ、やたねエー、フフッ」、またどっかのなまりがでたな、続けて「あと幾日アル、友達呼んで、パーティ、ヤてよろしカ」、「ダメでしょ、何回も言ってるし、先程も注意されてたでしょう、もー」っと当職からもう一度念を押しておき、帰る準備をしてドアに掛かってる「ザ・メイドノ・ミヤゲ」の看板をジックリ見て、こりゃ、甘くて怖い名前だなアー、って、つくづく想いながら帰途に着いたものだ。
如何でしたか、でも本当はネ、このあと、もうひとつ、とんでもない事件が発生し、これ以上に七転八倒するのですが、ここで完結したいと存じます。次の事案が当職をいまかいまかと待っているからです。そのうちに、ほとぼりがさめたら語ってみようかと考えてはいますからそのときまでお楽しみ、ということで。
当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
Te l03-3317-3388 fax 03-3317-1419
Emil: ima@oak.dti.ne.jp
URL http://www.ishiyama-office.com

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