行政書士石山政義による法務にキラリ　その２３

行政書士による公証人の活用にキラリ。
久しぶりに、上記テーマを御話ししてみたいと存じます。
今回は、近隣地域とのトラブルを例にとり、公証人に確定日付をとってもらうことの意義と契約書を作成、そして債務名義（強制執行文約款）までにこぎつけるテクニックについて述べてみたいと存じます。
神奈川県鎌倉市は、扇谷にある、現在文無さんの土地が、相続で三筆に分筆され、内、相続人である棚餅さんが一筆、残り二筆は分譲され、鬼桶さんと、強欲さんが買い、鎌倉の粗忽工務店に建物の新築を依頼。
ところが建物が完成、その引渡しまではよかったのですが、電機、ガスメーターのチェックは、この三者の共有部分に入ってしなければならず、特に、強欲さんの裏敷地に近いところのそれぞれの土地内にメーターが集中しているという、先を考えない設計ときたもんだから、メーターチェック担当者はどうしても強欲さん側のフェンスと垣根に寄ってチェックしなければならないという始末。
これに怒った強欲さん、これではプライバシーは守られないわ、いつ垣根が壊されるとも限らないってんで、粗忽工務店と棚餅さん、鬼桶さんの三人に猛抗議。困り果てた粗忽工務店は当職に相談。
工務店曰く、いまメーター等の配置を変えるとコンクリ掘り返し、場合によっては基礎まで掘り変えが有り得、５００万くらいの経費がかかるんです、横の棚餅さんも鬼桶さんも知らぬ顔しているし・・・・。
そこで、当職としては、「では、粗忽工務店が中心になり三人と合議し、念書乃至契約書を交わしたら良いのでは。さらに強欲さんを納得させる為に公正証書とし、なんとか債務名義にしましょうか、でも粗忽さん、大丈夫ですか？」とアドバイスと同時に責任の重さも説明しました。
急ぎ、彼は五回程、必死になって四者会談を開き、舞台設定。最終日に当職も同席し、以下の契約書を交わし、且つ執行文約款を付すことにしました。主な契約内容、
一　全員が文句を言わず、現状を認めること。
二　強欲氏のプライバシーを守るため、粗忽工務店はいついつまでに、５０万円で垣根の高さを上げるか植木等で調整する
三　垣根等が人為的に倒壊またはそれにより家に損傷が生じた場合は粗忽工務店が時価で賠償する
四　将来、各々が改築等、家に手を加える場合はメーター等の位置を移動するという約束をし、履行しない場合、強欲氏は粗忽工務店に損害賠償を請求できる。
っと、だいたい以上の事項を、契約書に謳い、納得していただき、これを公正証書とすることを提案したら、今度は、棚餅さんと鬼桶さんが渋ってしまいましたので、
五　粗忽工務店が、この二人、いや三人に対する建築代金のうち、いついつまでに７０万相当額ずつ返金
ということで三人も納得。
強欲さんとしては抗議した甲斐あり、猶且つ、建築代金値引きもしてくれ、気分の良い契約書になったようで、ニコニコ顔。粗忽工務店は正に、泣きっ面に蜂。
あとは、当職として淡々と契約書を作成し、債権者、債務者それぞれの印鑑証明と代理人の選任をし、公証人と打合せをして強制執行約款付の債務名義にして貰い、無事完了。
この場合、ポイントになるのは公証人役場で確定日付をとっても内容証明書と同様、その時点で、この契約書があったという事実証明はできますが、強欲さんを納得させるには弱すぎます。契約内容に二と三、五を謳ったことにより俄然、「強欲は柔を制する？」結果となったんです。つまりこのうち、二と五の項目があってはじめて、強制執行約款を記載することができ、債務名義の契約書として公証人に認証して貰えたのです。
どうですか、トラブルというのは当人同士が集まっても揉めることが多く、できるだけ第三者の介入とアドバイスがあったほうが良いという典型。また公証人さんはこんなところでも活躍しているということと、勿論、行政書士も密着型で頑張っているということを知っていただければ幸甚。
その後、粗忽工務店は一級建築士を採用し、活躍していますが、商号を変えたということは聞いていません・・・・・。
当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義　法務・行政事務所
所長　石山政義　
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