行政書士 石山政義こと碧雲山人の時空遊泳

俗塵を払って(11)
山登りは辛くも愉し、にキラリ(5)
何本かの本職のブログをアップ、面目役如できたところで、またゾロ、山行の続きでいきましょうかねエ。
本日は、山シリーズ第四弾ということで北鎌尾根山行の続き、そうです、今度は拙僧の恐ろしい体験のお話。
では、いきましょう
逆層岩稜地帯の危機を克服した三途之川氏をはじめ北鎌尾根縦走パーティー七人は、次のポイントである独標2899メートルを目指し、いくつかの岩稜地帯の克服あるいは回避をしながら着実に距離を縮めていく。日は既に中天を突く槍の鋭鋒から西鎌尾根上空に。
天候は相変わらずガスの間から太陽の見え隠れ状態が続いているがそろそろ出てもおかしくない身の毛も弥立つ雷雲と稲光の発生はいまのところない。エスケープルートもなく厳しい岩稜では逃げようもないのだ。たのむぞ、あと3時間は持ってくれよ、と、少なくとも世にも恐ろしい地獄風景を体験している連中はそう祈ってる筈だ。
グングン高度を稼ぎ、独標まであとわずかというところで左を巻いていくと近道だが岩稜地帯を神経使いながらの登攀となり厳しいルートが予想されるものの、憧れの独標ピークを通過できるのに対し、右巻きはややなだらかで難しさは感じられないが遠回りで且つ独標通過は時間的に無理がありそうである。しかし一部の連中が集中力に若干欠けてきたことを考え岩稜を避けるルートを選択、結果として独標ピークを踏まずラバースすることに。
さて、独標を至近距離に捉え、ここで最後を遂げた加藤文太郎に黙礼し、我々は気持ちを引き締め、いよいよ最後のクライマックスである槍ヶ岳へと歩を進めたのであった。時間は15時を回りかけている。
独標を過ぎると、かの槍はやや左方向11時に鎮座しておりその距離を推し量ることも可能だがそんな余裕はなく、黙々と距離を詰めていく。途中、180度岩稜だらけの地帯を二箇所、リーダーの登攀ルートの選択とザイル等のテクニックにより、ことごとくクリアー、その技術の高さにはいぶし銀の如く地味だが要所々でキラリ。
既に槍ヶ岳を前面に見ての縦走、疲労困憊も極限に近いが目の前の餌?は途方に大きくそれぞれの脳裏に様々な想いが膨らんでいることだろうか。鋭い岩稜群を登り詰めたところで、突然目の前に高さ30メートル、幅20メートルの壁にぶち当たったのだ。トラバースも出来ず、正面からの正攻法を選択
そして、一時間後、16時を少し回っていただろうか、眼前にそびえ立つ黒い塊みたいな槍ヶ岳を真に捉えた。本日のクライマックス、これが最後の登攀になるのだ。そしてここで拙僧が恐ろしい目にあったのだった。
ザイルは張らず、慎重にルートを確認し、浮石等にも注意が肝要だ。接近してるが横に二手に分かれ、リーダー、壮年女性、三途之川氏。一方、○氏をトップに○氏、問題の岩蛾堕知瑠子(イワガオチルシ)さん、そしてラストが拙僧。お互い、声を発しながら狭い岩稜を詰めていくうち互いの距離も詰まりだした。通常はこの角度と広さからすると先行者との距離は2メートル以上は必須。そうすることにより視野も定まり、特に落石があった場合にはその対処に余裕ができる。
ところが、拙僧の先を登る墜知瑠子さん、登山歴は短く登攀経験もないが故、かなり緊張、だいぶゼーゼーして肩で息をしているのが後方から容易に推察できるのだ。ガスの濃淡からポカリと出てくる太陽は既に西鎌尾根から薬師、剣岳方面に傾きかけているし、皆の心には焦りもあるのだろうか、ピッチがやや早く、ルート模索、そして何よりもホールド後に岩を離れるときの気配りが散漫になっていることを下から敏感に感じだしたのだ。うーん、何も起きなければよいが、と、逆に拙僧は妙に緊張して最後の力を振り絞って上部180度に気を使い出したものだ。
先行してる何人かが槍ヶ岳頂上北鎌尾根を登りきったところの祠を見い出したようで、「やったア―」って歓喜の声が響いてくる、っと瞬間、パラパラッ、ザーッと、上から砕岩に小岩が混じって流れ落ちてきた。墜知瑠子さんからのものだな。オーイ、落、気をつけろよー、後一息だからなあ、っと、かなり疲労している彼女に声を掛けた。と、あッ!と彼女の口から小さな声が発せられたのを拙僧は聞き逃さなかった、フワッ、ガラッ、ズンという鈍い音が響く。上を見た、っと、直径20センチから28センチ、厚さ15センチ程の岩塊が目の前に落ちてきたのだ、えッ!?まさか、殺られるウーっ、こりゃ一緒に墜ちる、
接近し過ぎだッ、避けられないッ。醜い岩塊は一度、下の岩塊とぶつかり、ジャンプし、音も立てず宙を舞う、重力を付け、加速しながら一気に拙僧の正面頭上に容赦なく墜ちてきたのだ、本当に殺られる、うわッ!っと、ばかり、岩にへばり付き、反射的に首を面舵一杯右二時から三時方向に折れてしまうほど曲げた、とわずか0.5秒後、ブンッ、ドスンと左耳に気味の悪い、鈍い音を残し拙僧の重さ20キロのザック蓋上部に落下し、速度を失いながらもう一度足元に落下し、下にガラン、ドドッ、と回転して岩塊が去っていく。
うおーッ、やったゾオ―、逃げた、生きてるーッ。血の気が戻り、身体内から覇気とも心高鳴りともつかない物凄い感情がこみあげてきて涙が出そうになったものだ。
わずか2分の出来事であったが、長かった。また、生かしてもらったのだ、全てのものに感謝。オーッと、密かに雄叫びを上げたのであった。

気を落ち着かせ、あのバカタレめ、って上を見上げると、左方向に一人、頂上に手を掛けており、張本人はもういないのだ。はア―、っと、怒りの感情はなく、なぜが納得。
あと5メートルを一気呵成に登り詰め、槍ヶ岳北側の祠から身を乗り出し、合流。皆、達成感からか高揚しており、充足感で満々の雰囲気であった。岩蛾墜知瑠子さんに目を移すと、感動で泣いていたもんさ。拙僧は一言も発せず暮れかかろうとする穂高連邦を3180メートルの鋭鋒から眺めながら、あー、やっぱり山は怖いけど愉しいなアーっ、やってて良かったゾー、想ったのであった。
しかし、あのときなぜ反射的に首を右に振ったんだろう、拙僧は左利きなのに・・・・・・もし、左に振ってたら・・・・殺られてたかなアー。これは未だに不明だな。それと身代わりになったザックを背負ってなかったらやっぱり・・だったな。
でもあの光景での岩塊が降ってくる場面って宇宙もの映画にでてくる大気圏に突入した隕石に似てるよなあ、っとなぜか想像と現実を交錯したものであった。
にしてもやっぱり、山は怖いけど愉しいな。
いかがでしたか、今後、当職の聖職である行政書士としてのキラリ日記を挟み乍ら思うが侭につづっていきたいとおもいますので楽しみにしていてください。
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