行政書士石山政義による法務にキラリ その29

行政書士による建設業許可代理申請にキラリ(4)。

建設業許可に絡んだブログは執行役員等以来ですが、本日はホヤホヤの終了案件を一つ。
神奈川県は横浜市内で建設業を営んでいる中堅どころの仁義に堅く社員の面倒見の良い社長からの依頼。
初回ブログ以来の述べたことですが、許認可というものは地方自治体によって要件も違えばその裏付資料の提供乃至提示内容も違うというのが現実ですから業者は別にして(広い意味では行政書士も業者ですがネ)我々行政書士としては実に困りものです、が、一貫していないから行政書士の存在価値があるといえばあるのですが・・・、それは、神奈川県についても同じことが言えるかと存じます。

今回問題となったのは経営業務管理責任者(技術者としての実務経験証明も同様)としての工事裏付を提出しなければならない部分で申請会社が当時、無許可の状況のなかで実際に工事をしていたか否かを立証するには通常、確定申告書、請負契約書、注文書と請書コピー、或いは請求書と領収書セット等のいずれかどれかとの組み合わせとなるのですがこれら四点の立証資料のうち、依頼人の出された資料は請求書しか残っていませんでした。
というのは、大抵の建設業者、特に、内装工事、とび、水道工事等を専門に請け負っている所謂、専門建設業者においては、優等生みたく請負契約書を正式に交わす方は少ないのが現実です。なかには注文主からの一方的ファクス、もっとすごいと、口約束、極まりは目約束ってやつ。こんな神業?使われるともう紙一つ出やしません。
で、請求書(勿論、原本です)しか残されてないときは大抵の場合、補足資料を求められますが、その資料とは綴られた請求書に書かれた請求相手とその金額が実際に入金されたか否かを確認できるもの。となると会社名義の通帳乃至会社発行の綴られた領収書の耳です。
この「綴られた」ということの持つ意味は非常に大きいのです。他府県、例えば東京都ではこのケースではバラバラな請求書を出した場合でも具体的な工事名と工事内容と申請人の主張に矛盾がなければ認めてくれます。要は一貫性を客観的に立証でき、審査官に具体的な印象付けを構築させることができれば可能ということです。
勿論、許認可ですから役人の裁量権により別資料添付を求めてくる場合もありますが上記のような通帳等の要求は一回目審査からはありません。あくまで心証を得られなかった場合です。
ところが、神奈川県では、そうは問屋が卸さないンです。先の「綴られた」請求書であるか否かは決定的。即ち、前者は通帳等での裏付担保は不要、後者は要す、しかも原本を提示ってことですから随分差があります。
確かに、信憑性を考えるならばバラバラよりは連続した一冊もののほうになりますが実際、現場ではそればっかりではありませんよネ、まして解散してしまった会社のそれをもってこいって言われた分にはグーの音も出やしませんヨ。
結局、この会社の女性メンバーが当時、解散した子会社の総括をしていた為、過去の資料全期分を保管していたため、過去の通帳を提示してコピーを提出して無事許可を取得することができました。それにしてもこの女史の記憶力と行動力には恐れ入りました。この女性の協力なくては処理できなかったかもしれません。
しかし、通帳があったからよいものですが、なかったら、とおもうと如何ともし難いのか、って諦めてはいけません。方法は残されているのです、っていうのは当時の会社確定申告書で証明することですがこれには条件があります。まず原本であること、その確定申告書上の営業種目に申請対象工事種目が記載されていること、です。これがあると工事裏付書類は余程の疑義がない限り一切要しません。が、これも解散、或いは仲違いして辞めた会社から借りることなぞできないですよねエ。
こうなってくるとなかなか方法はありませんが、あとは個別に審査官と相談するしかありませんが、要は審査官の心証形成とそれを得る為の状況証拠をもって一貫性のある立証をすればよいわけで、そして役所としてはそれを認めた場合にそのことについて一般消費者から突かれた場合の具体的な回答ができれば既存の条件にこだわる必要もないのではないかと当職としては考えておりますし、実際、当職として過去に関わった案件で切実に訴えて認可を獲得したケースはいくらでもあります。
審査官を納得させるということはその先にある一般消費者をも認めさせるということだと考えれば真実にしたがった、その立証資料というものの具体像は見えてくる筈です。
じゃあ、審査官を説き伏せる裏付には何があるかということですがこれは会社単位で違うと思うのです。人的、物的にも、また仕事としてもそれぞれに環境が違うわけですから一概に言うことはできません。
一つだけ例を述べますが、ある都道府県で、やはり一生懸命に会社を経営して経験を積んできたにもかかわらず上記のようにマニュアルに沿った立証資料は殆ど出ない状況でしたが、注文を出した側の会社が存続していて、その会社に残っていた注文書の控えと当職に対する依頼人である申請人がその会社に発行した請書の原本が残っていたためこれらを提示し、猶且つ、上申書を提出して無事完了した事案がありました。勿論、担当官と個別対応で意見交換の繰り返しをしましたが。
役人に裁量権があるということは逆に考えると、その認可要件に幅があるということだと考えます。許認可条件の骨格を形成する部分は絶対に崩せませんが裁量権が介入する部分はいわば任意要件でもあるわけです。
重要なことは、真実があるのであれば、審査官との交渉において、既存の資料に囚われず、こんなものがあんなものが資料として残っているということを逆提案することが大事で、その積み重ねによって要件の枠を広めていくことも行政書士の責務だと当職は考えております。
ってことで、決して諦めてはいけないってことです。真実は全てを貫くってところですかね、当事務所のオームページ冒頭にも述べておりますが難問であればあるほど身体を張って萌え燃えの行政書士である所以であります。
当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
Te l03-3317-3388 fax 03-3317-1419
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