行政書士石山政義による法務にキラリ その40

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行政書士による遺産分割協議書にキラリ(4)。
日毎に、秋深まっていく鎌倉といふところは山川草木のゆるやかな彩への変化を確実にとらえることができる。しかも都会からわずか一時間なのに・・・。そして早朝の遠近にみやる山々も薄く濃く霞み、厳かさとやさしさを醸し出しており、この地のありがたさをこんなときにつくづく実感する。

於拙宅ベランダ 早朝の山並みからは秋の旭日が・・・・すずやかな上空は黄金いろに染められていく
さて、今回は茶の湯の続き第三話を御期待されてる読者には申し訳ありませんが、読者御自身も今後、他人事ではないという観点から是非読んでいただくということで前回に引き続き鎌倉は長谷に纏わる遺産相続に関する続きを、ということでいきましょう。
湘南新宿ラインに乗り込んだ当職は大船サンドイッチをパクついて、鎌倉富岡ハムがのっているその厚さを確認しつつ舌鼓を二、三回打って、腹が落ち着き、浅い眠りから蘇えったところで先程の会話と資料を照らし合わせ整理をしたものだ。
父親、母親から子供二人への未決分は今回の土地建物のみということ、祖父母も亡くなり弟さんの貰い分は二分の一だが生前贈与分による減額分1300万円と父親死後、遺産として1000万円立替で貰ってること、したがって土地建物は分筆して一部を売却して、その額から上記合計2300万円を差し引いた金額を渡すこと、土地建物の処分は銭儲化株式会社に依頼し、客も何人か付いており売れることは時間の問題だということ、弟さんがかなり急いでいおり、安心させる手段を講じ行動を慎んでもらうが、聖さんも弟さんの意向に反することは不本意とのこと、となると公正証書はやはり約款を付すことが必要かもしれないということ等。
新宿に着いて、中央線に乗り、ボーっとして7分、阿佐ヶ谷駅の階段をダダダっといつものことながら、せっかちに降って急ぎ足5分でパールセンター商店街を曲がって事務所に到着。
でと、コーヒーを職員に恐る々いれて貰って、溜まった未決済書類の山を一々、入念に目を通し、昼飯も食べず全部処理したあと、本日の案件を机一杯にダーっと散らかして拾い上げながら、あれやこれやと試行錯誤を繰り返し、書類の作成に取り掛かったものだ。そして二、三の確認事項があったので現世さんに電話して頭の中に叩き込んでと、他の案件も並列処理しまくり、時間にして21時半、この日は漸く終わったのだった。
二日後に本件の長女、現世さんと電話で遺産分割協議書の内容の確認、そして弟さんとの直接電話でのいくつかのやりとりを行い遺産分割協議書の内容と公正証書の作成如何を筋道を立てて説明したが坂道堕流三氏とは公正証書の作成は必須、遺産分割協議書の署名押印も含め、条件によっては纏まった金が入る日とすること等、坂道氏にある程度、沿った計画であるが、現世さんが了解しているので仕方がない。
さて、これらの流れの合法性と確実性を確認する為と公正証書作成と認証の予定等を含めて公証人と打合せをして対応策を纏めてみた。一方、当職事務員には推定相続人を特定するため、父親を生んだ父母から戸籍を追ってもらい、相続人は二人しかいないことを確認し、相続による遺産分割協議書に従った不動産登記等に必要な資料の作成を。
それから幾日か経ってから聖 現世さんから電話があり二日後の日に弟が来るので、打合せをさせて欲しいこと、そして土地に買い手が付いてその金額もほぼ決まったので弟に分ける残相続金額も凡そ決まったと電話のむこうから少し弾んだ声で言ってきたものだ。
当職は「それは、よかったです、電話でしか御話してませんが弟さんの言っている希望金額と、今、言われた売却価格もある程度決まったのでしたら金額的にはむしろ高く評価されたんですから話は早いですネ、あとは彼が貰える時期と金額の確実性等を担保してあげれば大丈夫でしょうから、その方法は当職が御伺いしたときに御話をいたします。そのときにはお二人の印鑑証明2通づつと実印を御用意しておいて下さい。」と言った。
しかし、坂道堕流三氏を説得するには即効性を求められるから、やはり両者による遺産分割協議書の作成により予想される債権債務の発生を見込んだ長女が債務者、弟が債権者とした金銭消費貸借契約を交わし長女さんにとっては侮辱と思われるかもしれないが不履行の場合の遅延損害金の発生まで記載しておけば納得するだろうと考え、打合せの前日、電話で現世さんを説得、弟さんを了解させて書類の作成に掛かったものだ。が、なかなか、問屋が卸さなかった
約束の日、坂道氏は東京都世田谷区から鎌倉くんだりまで来てということなんで、夕刻の6時半に長谷の家で待ち合わせ。いまでは天然記念物で採取できないと聞いている本鞍馬石を使用した厚さ40センチ、幅1メートルばかりの靴脱ぎ石から框の高い玄関を上り、とろとろになった檜廊下を通り広間に。既に弟さんは食卓テーブルに腰掛けてタバコを吹かして現世さんとなにやら話しをしていた。
さて、坂道堕流三氏と型通り挨拶を交わし、当職から開口一番、こう言ったものだ「御電話では、いろいろと御聞きしまして、すいませんでした、また本日は鎌倉くんだりまで御願い致しましてご苦労さまでした。行政書士の石山です。では早速、本題に入らせてもらいます。確認ですが坂道落流三でいらっしゃいますね、本件については鎌倉市長谷のこの地である土地建物をお二人で相続するということ、他には財産はないという前提で今日、前日までの情報を基に遺産分割協議書を作成してまいりました。同じく前日までにお二人と銭儲化株式会社の方との三者で話されており、決済等、少し流動的な部分があるということなので、その売却金額の記載はありませんが、坂道さんがご両親からの生前贈与金額の過不足金額1300万円及び母親と長女さんからの1000万円の受領の合計を売却予想価格不動産に対する相続分である二分の一から差し引いた残金2000万円を御渡しするということでよろしいですかね」と、いつもの調子で早口に言ったところ、聞き漏らしてはいけないと耳をそばだてて聞いていた坂道堕流三氏は待ってましたとばかり「先生、金額は大方いいですが、こちらとしちゃあ、早いとこ金が入用なんですよ、売れたというのはいいですが、まだ、全然貰っていないし、金銭消費貸借契約書作るのは先生の妙案だけれども、早く決着を付けたいんですよ。姉さん、昨日までの話だと物件の最終決済が二ヵ月後の11月末日だと、今日は9月でしょ、二ヶ月もあるんじゃ、こちらが干上がっちゃうんですよ。可能なら買い手に言ってサ、先に着手金の受け取りを早めて1000万円を先に欲しいんだけどサ。」よく喋る方だなあ、先日の電話での打合せと違うじゃないの、とは言わずこういった「坂道さん、気持ちはわかりますが、相手があることですし、その場合は契約の日を変更するしかないと思いますが、買い手にしても大根や人参ではないのですから慎重に対応して何かと準備もあるでしょう、そこのところを御理解して下さい。」と、横で黙って聞いていた長女さんは「堕流三さん、わかりました、どうしても今月中に必要であるということであれば先方に契約の日の前倒しを御願いしてみます、もしダメなら私がなんとか1000万工面してみます・・・、どのみち分筆して私名義になる土地に、家と少しのアパートをつくろうと計画していますから建築業者との契約を早めればそれを根拠に銀行から貸して貰えるかもしれませんから」、うん、確かにそれは可能だが最近、焦げ付きがデカイそという噂しきりの、みずぶくれ銀行次第ではないのかな、と、おもったものだが、にしても随分思い切ったもんだなと感心してると、横から「姉さんありがと、でも、あのケチなみずぶくれ銀行が積極的にやってくれるかなア、こちとらなんにも保証がないんで、その裏付か、なにか担保が欲しいですなあ、やはり先生のいうとおり公正証書にしてもらい、ついでになにかあったら困るのでその公正証書に担保みたいのを付けてくださいね、ヘヘッ」しっかりしているなア、担保ってのは強制執行約款の付与ということではないか。できればそれはしたくはないのだが・・その辺の話は先日の電話でチラと言ってあるし本人がそれで鞘を納めてくれれば姉さんとしてもそれでいいのだろうと考えたものだ。そしてこの強制試行約款という法律上の意味を細かく説明し終わり、あとは現世さんが決めるしかない。おもむろに彼女の顔をチラと見たが困惑顔であったものの諦めた様子で首を軽く縦に振ち「はい」と小さく言ったのを了解のサインとみた。
一呼吸おいて「分かりました、では9月末日限りで1000万円支払い、11月末限りで残金1000万円支払い、当日支払えなかった場合、遅延利息の上限の設定、そして強制試行約款の付与を末尾に載せて公正証書として金銭消費貸借契約書を作成します。ただ当職が作成したのだと、本日の決定事項と少しく異なるので改めて作成し直し、正しく反映させた書類にいたします。宜しければ9月30日の1000万円の決済が行われる日の午前中に公証人役場で認証をしてもらうこととしますので9月29日は契約書に押印の御願い、30日には遺産分割協議書の押印と第一回の決済の為、御会いさせていただきますのでそれでよろしいですか」スラスラといつもの早口で畳み込んだものだ。そして「現世さん、すいませんが、いま、銭儲化株式会社に電話していただいて、ちょっと契約の前倒しを御願いしてみてくれませんか、なんなら当職が事情を説明しますので」。できれば彼女にはみずぶくれ銀行から金が出るにしても立替と同様で、負担が大きい筈だ。ここは一つ日頃、強引さで大もうけしてる銭儲化株式会社に一肌ぬいでもらおう。
不動産屋に電話をした後、返事待ちということで雑談を交わし乍ら経つこと20分、銭儲化株式会社の担当部長から連絡があり、買主は了解、9月25日の夕刻に契約の前倒しができるとのこと。
よかった、これで彼女は苦労せずにすんだ、坂道氏も、パッと明るい表情になり「姐さん、ありがとうね、いやあ〜ッほんと!」だって。それにしても公正証書の作成には変わりはないのだから坂道氏にとっては、事は有利に運んだわけだ。
現世さんは少し疲れ気味でしたが、とりあえず両者の本日決定事項の再了解を取り、時計をみれば既に夜8時50分を回ろうとしていた。てんやものでも、と誘われたが、遅いし明日も恐ろしく早出なんで、と丁重に遠慮して(たぶん、この時間だと長谷のあたりは店は閉まっている)、では、お先にと挨拶して表にでるともう日はとっぷりと暮れて、店はどこもカーテンを閉めているし、江ノ電長谷駅も人はまばらだ。
あー、疲れたア、ここまで徹底するってのはウ〜ン、人間の三大欲と割り切っていいときと、でないときがあるものだが・・・・・・と思いながらガタゴトと江ノ電に乗せられて鎌倉駅の西口を出てそのままコンビニに。冷酒は冷蔵庫にゴロゴロしているからビール2本とピスタッチオの入った1袋を左に、重たいカバンを右手にトボトボと山中の自宅に帰っていったものだ。周りでは鈴虫がやたらと鳴いておりいつもなら全身をそのままスーっとぬけていくのだが今日は妙にひっかかり空回りするのはやはりあまり気持ちのいい案件ではなかったかな、ということなのか・・・・・。
翌日からは事務的に淡々と処理するだけだ、公証人には電話で書類の一部変更の知らせと債務者である姉の代理人は当職、債権者である坂道堕流三氏の代理人に当職スタッフを設定。9月29日と30日にもう一度御会いして、二人に書面を見ていただき、実印の押印.。そして、現世さんには銭儲化株式会社ともう一度細部の詰めを御願いし、当日の1000万円の確保を再度確認、二回の決済場所は現世さんの身体の都合上やはり鎌倉市長谷でそれぞれ午後2時と正午ということに。
さて、29日の書類の確認と押印は滞りなく終了、9月30日当日は当職とスタッフが一番で公証人役場に出向き強制執行約款付金銭消費貸借契約書を公正証書として認証。そして湘南ラインに飛び乗って一路、鎌倉の長谷に。あっ、そうか、長谷の大仏の御顔の部分がわずかに見えるのだった、初めて気付いたのは余裕が出てきたのかな、っとおもいながら再び時代が経った聖さんの自宅の兜門に向かったものだ。
すでに二人とも座敷に敷かれた色も鮮やかな更紗の上におかれた木目の美しい幅、約1.6メートル程の屋久杉卓にそれぞれの実印、印鑑証明書等を置いて待っていた。
当職は本日までの経緯とこれからの予定を以外?とゆっくり説明、そして認証の終わったばかりの強制執行文約款付公正証書を提示、続いて遺産分割協議書を提示して当職が一々読み上げていく。その間二人はフンフン、コクコクと、音ともつかない微かな動きを繰り返し、読み終わった瞬間、腕組みをして天を見つめていたのはあれは一体なんだったろうか。と、あえて想いをめぐらすこともなく、事務処理を。カバンから直径8センチ、厚さ4センチの当職の旗印である本物朱肉の入った漆箱をゴソリと取り出し屋久杉卓にゴトリと置いて実印の押印を手早く、確実に押していくのを二人はジッと見ているもののなぜかそれらの目は気のせいか虚ろに感じたがそれも詮無きこと・・・・。
さて、相続関係の全ての書類に押印が終わったところで当職はこう言った「これでこの度の相続に基づく遺産分割協議は整い、実印の押印も終わり、ここの土地関係の所有権はいったんは全て現世さんに移ります。分筆により一部第三者に売却されるとは申せ、御両親からの想いは今後、現世さんが残されていくことと存じます。」と、一呼吸おいて「では、今日の書類上の御確認を終えましたので公正証書付金銭消費貸借契約書に基づいて1000万円を現世さん、坂道堕流三さんに約束どおり御渡しください。」と、聖 現世さんは傍らに置いてあった薄紫のやや小さめの風呂敷をさらさらと開いて卓上にスっと置いた。
そして一言「堕流三さん、どうぞ御受け取りください、いろいろとありましたがこれで父と母が一生懸命に働いて、守ってきたものがなんとか無事残すことができましたね、わたしはこれから何年生きるかわかりませんが生あるかぎり、ここを守っていきます。貴方もこのお金を大事に使ってください、どうぞ」と言って、さらにズイっと、彼の前に置き直した。10秒ほど間隔があって、堕流三氏は重い口を漸く開いて「ウン、姐さん、申し訳ない、両親の現存のときからいろいろと迷惑も掛けたが、今日、また最後の迷惑を掛けたな、これからもまた宜しくね、じゃ、確かに貰っておくよ」、あれ、宜しくね、って、それは11月の債務の実行を言ってるのかなア〜、とは考えまい。兎に角、良かった、々、これで一件落着ってことだ。そして当職は最後に言ったものだ「それでは、これから11月の末日には土地建物の売却契約金の最後の決済がありますから、その日のうちに坂道さんに対する債務金残金1000万円の支払を御願いします、そのときは当職がもう一度立ち会いますが、土地等の相続による移転手続は早速に実行することになります。ということで、本日はありがとうございました」慇懃に挨拶をし、気分も少し、軽く、これからまもなく壊されるであろう、質素ながら木造漆喰の数寄屋様式で造られたこの家をもう一度振り返り、目に焼き付けて、この地からまた鎌倉らしさが消えていくのか、と、淋しく想ったものだ。
そして長谷駅に着いて、駅近辺に散在する住宅のあいだから僅かに確認できる鎌倉海岸をみながら海原の景観はいつまでも変わらないのになあ、と考えたら一段と寂しさがこみあげてきたのだった。
いかがでしたか、当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
さて、次回は御待たせ、茶の湯の第三弾!いよいよ懐石料理の舌鼓と正客等5客と拙僧亭主との丁々発止のやりとりをリアルに、そしてこのブログを通して、ひとと文化との関わりあいは表裏一体であり、能動的にそのわずかな銀毛に触れば1600年前の歴史が湯水の如く溢れるようにながれいでてくるということ。それは日本人として誠に愉しく智的なことなのだ。数寄者ならではのこの道、請う、御期待!

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