行政書士石山政義による法務にキラリ その39

行政書士による遺産分割協議書にキラリ(3)。
ここ二回ほど、茶事に関するブログを綴ったところで、ちょっと小休止、第三話はこの次ということで。
本日は、当職得意の相続関係に関する案件のうち、ついこのあいだ受託、完結しました遺産分割による相続財産処理でも、結果的には安泰であったのですが、その過程はすこぶるひねくれた御話を一つ。こんなことも大いに有り得るってことを読者のかたも記憶に留めておいて下されば幸甚。
父親が亡くなり、つい最近母親を亡くし、その相続人である長男長女二人からの依頼でありますが、遺産分割協議書作成依頼はよいのですが、別口で本協議書を巡り、金銭消費貸借による公正証書作成、しかも強制執行約款付で認証をしなければならなかったという案件を一つ。
遺産分割協議書というものは公的介入と第三者の干渉なしに遺産相続することができ、且つ相続人全員が集まって作成したその遺産分割協議書が国家機関、民間を問わず効力を発揮でき、且つスピーディーに事務処理ができるところに大変な意義があるのです。
しかし、今回は残念なことに間接的とはいうものの公的機関の介入が入らざるを得なかったケース。
では、いきましょう。
依頼人は、神奈川県鎌倉市は長谷に御住まいの長女、聖 現世(ヒジリウツツヨ)さんと東京都世田谷区は小高い場所に住まわる長男の坂道堕流三(サカミチオチルゾ)さんからで状況は、父親が亡くなり、母親を最近、現世さんの介護の甲斐なく亡くなりました。父親の存命時から長男は家を出て御自身で商売を始めたものの、あまりパッとせず、借財も結構あり、加えて金銭に対しても執着心があり、弁も立つときたもんですから長女としてみれば爾来翻弄されっぱなし、ということで当職の出番ということで、明朝7時半に聖 現世さんが住んでおられる鎌倉市長谷の御自宅に御伺いするということに。
秋の気配のする少し肌寒い日の朝、行動も早いが起床も早いという当職としては5時00分にガバリと起きて、庭で居合いの稽古。40本ばかり抜いて食事もせずに7時過ぎの江ノ電に乗り込み長谷駅を降りて昨日依頼のあった御自宅に。

門をくぐると萩と秋海棠が当職の目にスッと入りこんで早朝から気持のよい気分になり、住まわれてる方の美的センスを想像しながら玄関に向かったものだ。
御会いしてみれば人のよさそうな、性善説がいきなり飛び出してきそうな疑うことを知らない御仁で、60歳を超えたか超えないかなと思い乍ら、庭の小奇麗さと鎌倉らしい家の質素さをサラリと褒めたところで本題にはいったものだ。
聖 現世さん曰く「本日は、先生には同じ鎌倉にお住まいとは申せ、大変申し訳ありませんでした。たいした土地建物ではありませんが、両親が住んでいたものですから思い入れがありまして私も生ある限りこの土地で尽くしたいと存じまして御願いした次第です。」と、随分素直な方だな、と感じながら、さらに言う、「先生、資料をお読みいただいておりましょうが実は、弟が母親からだいぶ借財をしておりましたんですが、勿論、生前贈与で両親からだいぶお金を持ち出していいたみたいで、一部しか財産譲渡を受けられないのだということは本人は承知していたのですが、この鎌倉の土地、建物だけは彼の生前贈与合計からはどうも外れるようなので、もしかしたら二分の一づつ分けなければならないのでは、と」。
「でも、建物はもう古いことですから壊すしかありませんし、土地の一部を失うことは致し方ないにしましても、なんとか半分でも守りたいと考えております。先生、私が弟に払えるお金があれば現金で渡すことにより、この土地は守れるのですが・・・。それも、ままなりませんので良い方法を考えていただき一切をお任せいたしますので宜しく御願いします」。うーん、これは弟を説得することに集中だな、どんな人間なんだろ、っと考え乍ら、こいう言ったものだ「えー、そうなりますと相続人がお二人という前提で御話させてもらいますが、御父さんが亡くなったときには遺産関係の処分は、この土地建物以外は終わってるのですね?」
「いえ、でも、現金、預金関係は、殆ど終わっております。この土地建物だけは母親が生きている限り名義を変えないということで母親と三人で話し合ったのです。ただ、その段階で、弟は自分の持分四分の一を事業用として、少しでも現金として受け取りたいということになり母親と私が合わせて1千万円程用意して渡したという経緯がありますが・・・勿論、受領証は貰ってあります」うん、それは良かった、如何なる事業かは知らないが、結構、癖がありそうな方だ、当然、会わなければならないが一、二回では交渉は済まないだろうな、と踏んだものだ。
「わかりました。で、先般、お電話でも御話させていただきましたが、いずれにしましも、母親が亡くなった時点で各二分の一づつは貰い分がありますので、鎌倉市役所からの固定資産評価証明と公表路線価額等を参考にしましたが7500万円は下らないと思います。現世さんには現状、現金がないし銀行もそれを担保にして単純な貸付はしないでしょう。したがってこの土地建物を売却するしか方法がありませんね、鎌倉の銭儲化株式会社は、あまりいい噂はありませんが既に、内密に御願いをしていることですから、土地を分筆して一部を売却するのが最善策ですか、幸いに鎌倉市長谷のなかでは土地の格好もよく、角地に近いですから、直ぐ売れるんじゃないですか」
「だとよいのですが、ただ、先生、弟である坂道堕流三は一日も早く残りのお金が入用らしく期限まで切って迫ってくるのですが・・昔はそんな弟ではなかったのですがねエー」と、ため息を漏らし乍ら言ったものだ。
なんとなくしんみりしてきたので当職が「まあ、事業をやっていれば仕方がないですよ、素人の感ですが早晩この土地は売れると見ていますし、弟さんの逸る気持ちを収める為にも書面に纏めて双方交わすのが宜しいでしょう、相続の貰い分は大方差し引き決まってるようですから、売却価格を基準しにて最後の線引きをすればいいでしょ、先方はお金さえ入ればよいのでしょうから、その金の額と確実に貰えるという担保と時期を提示すれば納得するでしょう、弟さんとは電話でやりとりさせてもらいますが、次回には弟さんと一緒に御会いさせて下さい。」
そして「現世さん、今後、土地建物が売れれば登記ということのなりますので、当職で遺産分割協議書を作成いたしますが、相続人を特定したいのでこれから戸籍謄本関係でもって裏付を取らせていただくのでご了解ください、それと不動産の特定もしなければならずそのへんの資料提出にも御協力のほどを」と畳んで、次回の打合せ日時等を決めて、玄関を出た。まだ朝方の打ち水が綺麗に残っている真行草でいえば行に近い延べ壇をせかせかと踏みあとをのこし乍ら長谷駅へと向かったものだ。
長谷大仏から南に延びる道路からは朝日を浴びた海原が鈍い光を放っており磯の香りもする。さきほどまでは山に近い、大きな屋敷が散在するひっそりとした谷あいに居たのに、ゆるやかな坂道を歩いて五分と立たないうちに、もう海が見えるというのは鎌倉ならではの光景だ。
チンチンカンカンと鳴って去っていく電車を一本見送り、小じんまりとした長谷駅から江ノ電に乗り、鎌倉駅構内で名物で当職も結構好きな値段もリーズナブルときた大船サンドイッチを買い、(朝の10時には売り切れてしまう)ギリギリ間に合った湘南新宿ライングリーン車中、我慢出来ずに早速、パクパクしながら水を飲みホッと一息つき、本件の整理に入ったが、にしてもあの坂道堕流三氏は煮ても食えないかなア、料理する方法を考えにゃいかんなあとか思いながらこれから1時間、ゆられて空羅々としていったものだ。請う次回に御期待を

当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。

石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
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