行政書士石山政義による法務・行政にキラリ その55

行政書士 石山政義の公正証書にキラリ第三話(第二話はこちらから)
事務所URL http://www.ishiyama-office.com
居合 当山鎌倉碧水舎道場にて舎生養成(http://ishiyama-office.com/iai)

鎌倉は於当山碧雲山房 母屋デッキから朝8時半頃の南々東側を見上げると、その木々のなかに必ず秋一番に紅葉する葉があるが今年もやはりそうだった。
山房から180度、山頂の雲襄亭からは360度ぐるりと見渡してみたがどれもこれもわずかに彩づいているだけで、あの木だけが先行している。毎年のことながら、今年もきたな!っと心が踊る。
この時期、この季節、これを皮切りに当山房もさることながら鎌倉中の山々がうつろっていく 拙僧も本日以降、煩雑に散策することになるだろうし、五感が鋭くなる季節にはいり酒も肴も一段と美味しくなることで楽しみなことだ。

引き続き、債務名義に基づく強制執行約款文付公正証書の作成に関する実例を語ってみたいと存じます。
ではいきましょう。
事案が債務者本人だけでなく一家総動員での連帯保証となると、事は慎重に処理する必要がある。
預かった書類とヒヤリングした内容を吟味し、公証人にも状況説明と仕上がった書類を早めに確認してもらわねばなるまいて。とか思案しながら鎌倉に帰ってからの一杯はあまり心地よいものではなく酒も進まないのさ、っということでサッサとひとっ風呂浴びて寝てしまうのが当職の流儀。
翌朝一番、三畳台目の東窓に旭光があたると同時にガバッと起き上がり、早朝の蜘この時期、非常に多い張り巡らされた蛛の巣をかき分け泳いで石段50数段をタッタッタッ、と韋駄天の如く駆け降りて、6時20分の湘南新宿ラインで一路、事務所へ。
相変わらずの超雑然たる当職が机には補助者が作成した書類のチェックの御願いものが山積みだ。
あ〜、やだなア〜、見たくないなア、時間ないよ〜、とかブツブツ言いながら、誰もいない狭い事務所を見回し、半ば諦め気味で本革の椅子にドカっと沈んだものだ。
でと、一度没入すれば集中力という点は如何なる輩にも決して劣らない、況や迅速且つ正鵠に於いてをや、っということで本日提出の書類を矢継ぎ早に30分で処理し、いよいよ本件に入っていったのであった。
まずは蜘蛛助氏から預かった当時の契約書と彼の記憶に基づいて早速、委任状の原稿作成に取り掛かった。
作成してみると、さすがに連帯保証人四人というのは圧巻、というか恐ろしいものがある。なんで末っ子がしでかした借金を両親、兄弟が保証しなければならないのだろう、絆が強いとか世間の目が、とかいう問題ではないのではないか。家族間と本人との長い葛藤があったとしか思えない・・・
それと、よくも蜘蛛助氏が家族全員を説き伏せたものだ。昔からその債務者とは友達で、家族との付き合いもあったと聴いていたから合点がいくといえばそうなのだが、にしてもだ。
様々なことを考え、想定し乍ら作成した委任状を約束どおり彼にファクスし、その送り状にはくれぐれも債務者と保証人に見せること、そして了解をして貰うことをしたためて返事を待ったのだった。
さて、一仕事終えたところで時計をみると9時45分。お〜、いい時間だな、タイミングを狙ったかのようにバンバン掛かってくる電話と事務員からの機関銃みたいな質問に冷静に確実に、しかし主語抜きで回答というよりはヒントに近いことをパパッ、と相変わらずの早口で伝えていく。戦場のなかをのたうち回っているうちに、あっという間に昼だ。
そういえば、あの店にはここのところ御無沙汰だな、っと、事務員連に「お〜い、みんな飯食いにいこう!そうだな、カツオのたたきを食べにいこう、それ〜!」っということで阿佐ヶ谷では美味しい「お魚食堂」へなだれこんでいった。
食事が終わり、クライアントを二件回った夕刻になって、携帯を見ると蜘蛛助氏からのコール跡が・・・
誰かが反対している、ってな回答が返ってくるかなという期待をしながら電話をしてみると、彼曰く「センセー、全然OKです、爺さんも婆さんも一流会社にいっている長男も次男も、みんな実印と印鑑証明書を用意してくれてますゼ、あッ、すいません、ます。はい!」っと張り切った声。
あ〜あ!まいったなあ、やるのか!しょうがないな、っと内心、がっかりしながら当職はこう言った「そうですか、やりますか、避けたかったのですが全員が納得しているのでしたら仕方ありませんね、確認ですが蜘蛛助さんの気持ちは変わりませんか」と最終確認を振ると即座に「はい!実行してください、ただ強制執行はしないつもりであります」っと決心は固い。
仕方なく当職は「わかりました、それではこの内容でいきますので公証人にも同様の委任状をファクスし、根回しをしておきますので約束どおり、明日午後一時に夜鷹駅に向かいます。そして明後日には公正証書の認証、という予定でいきましょう、では!」っと、踏ん切りをつけ、電話を切ったものだ。
決定すればフットワークがメチャクチャ早い当職のこと、ごった煮駅近くでの人材派遣業新規許可の打合せをさっさと切り上げ、急ぎ事務所へ。
公証人に電話連絡とファクスを。電話のむこうでは公証人は驚きを隠せないようで「石山先生、皆さん、本当にハンコ押すんですかネ、しかし、物凄い家族ではありますが、押してしまうということが・・・・」と、やや曇った言葉が返ってきた。
続けて「石山先生はベテランでいらっしゃるので、特に今回の発生原因と不履行から発生する法的責任の説明、くれぐれも頼みますヨ、なかなかないことですがねエ〜」ごもっともどだよなア〜、っとおもいながら当職はこう言ったものだ「先生、申し訳ありません、いつもこんな事案ばかりで。ただ今度のはさすがに神経を使う案件であることは承知しております故、説明責任を全うし十二分に納得してもらうつもりですんで、ひとつ宜しくお願いいします、では二日後の午後4時、ということで」とアポを取ったのだった。
さて、いよいよ当日だ。全員の印鑑証明をファクス願い、氏名、住所、さらに当事者である債務者とも電話で会話し、意思の最終確認と債務者側の受任者として当職の補助者を充てること等を機敏にやりとりする。
そして時間どおり午後1時に夜鷹駅に。ここ夜鷹はもう昔日の面影はなく、たしか、左側にはバカでッかいゴルフ練習場が目の前にあった筈。しかし今は8階建マンションが2戸隣立しており、道路も整備され、なんとなくセンチになったところで、出ました!白いベンツが。
ここで、荒磯蜘蛛助氏から初めて「債務者本人です」と紹介されたその人物には宜しくお願いします、っと軽く挨拶し、車に乗ろうとすると債務者は急いでドアーを開けて、どうぞ!っとサービスに余念がない。
が、複雑な気持ちで乗り込んだ当職は終始黙り込んでいた。やがてベンツは住宅街を入り込んで、まだ武蔵野の面影が残っている何本かの大樹に囲まれた中ほどに車は止まった。そう、駅から15分ほどだろうか。
こじんまりした二階建ての家の玄関に導かれると、父親だろうか、それと長男が向かえにあがっており、「先生、宜しくお願いします、息子が御迷惑を御掛けしておりまして・・・・」と、70才の後半くらいだろうか、父親が申し訳けなさそうに寄ってきたものだ。
さて、型通り挨拶を終え、居間に通されると早速、債務者が各人を紹介していく。遅れて母親が次男に伴われ、病弱なのだろうか、歩行もままならないようだ。
一呼吸おいて、目の前のご家族をゆっくりと見回す。さても御両親は、必死のおもいでこの土地建物を御苦労されて建て、また長男も、病弱な御両親を抱え、今日まで御両親ともどもこの家を、そして家族を守ってきたのだろう。そしてこの家族の一員が犯した過ちによって、その全ての苦労が水の泡と化してしまうとも限らない現実を想うと、当職としても辛いものがあったことだ。
で、全員揃ったところで、当職はおもむろにこう言った「行政書士の石山です、きょうは宜しくお願いいたします」と、神妙に口火を切った。
3秒ほど間をおいて「既にご存知のとおりであります強制執行約款付公正証書の意義と法的な義務の説明、それと、その内容が破られた場合の皆様が負担するところの責任と範囲の説明をさせていただきます。そのうえでの承諾の最終確認、そしてそれを実行する為の、ここにあります委任状へ皆さんの実印の押印と印鑑証明をそれぞれに預からせていただき、明日にも強制執行約款文付公正証書としての認証をいただきたいということで重ねて、宜しくお願いいたします」と言って一気にその要旨、内容を20分ほど喋ったものだ。
喋り終えれば、なんとなく険悪なムードなのも必定。おもわず出されたお茶を一杯ズズズッ、ゴックンと響かせると、なぜか皆も茶をズ、とかグビとか聴かせ、やっと、雰囲気がなごやんだか、長男が確かめるように「ここの土地建物の名義は両親が二分の一づつ持ってますが、履行義務違反があったときは最悪、売られてしまうのですか」
当職は「そうなるとおもいます。ですんで、皆さんが協力していただき、委任状に従った支払条件で履行を御願いしてなんとかその最悪を避けていただければよいのですが、大丈夫ですよね、社長が付けられた条件はそれほどキツイものではないかと・・・・」っと丁寧に、しかし少し歯切れが悪く応えた。うーん、こういう事案はどうも情感が移って苦手だな、っと内心はヒヤヒヤ。
隣に座ってる荒磯蜘蛛助氏は、というと会話に入るでもなく債務者本人と同じくただ、ジッと宙を見つめているだけだ。
家族との十分な質疑応答のあとの、実印の押印も滞りなく終了し、もう一度、今回の趣旨と委任内容等の説明と承諾を確認し、それでは!ということで書類をカバンに仕舞い込んで玄関に出ると、これまた家族全員が見送ってくれたものには恐縮、と同時に日本の家族の在りかたと西洋とは違う責任の取り方なるものの旧態依然たる犠牲的な姿を垣間見たような気がしたものだ。
そして、この、たぶん二度と御邪魔することのない昔ながらの東京は武蔵野の、おそらくは昭和50年後半に購入されたであろう一軒家をあとにした。
駅まで送られた当職は、いつもなら階段をダダダアーッ、と駆け上がっていくところなのだが、さすがに本日、このときばかりはそうもいかなく、沈痛な面持ちと書類の詰まったカバンも気のせいか一段と重く、疲れがドッと出て、重い足取りで一歩、二歩とホームへ這い上がっていったのであった。
5分ほど待って乗った電車内の乗客以外に少なく、空いてるときは必ず南面に向かった隅に座る当職、左隅にソロリと身を任せ、ここ幾日かのやりとりを想い返し、本件が公正証書、やはりあまり気乗りのしないであろう明日の公証人との認証作業を粛々と行わなければならないことの辛さを考えつつも阿佐ヶ谷までの約25分弱は案の定、コクリ々と眠りに入っていった当職なのであった。

いかがでしたか?当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。

石山政義 法務・行政事務所

所長 石山政義 

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貸金業法http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html

山水河原者(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%AD%E5%B8%AB

茶室(http://www13.ocn.ne.jp/~chakou/sub1.html

茶の湯 遠州流http://www.enshuryu.com/enshuryu.htm

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茶の湯 表千家http://www.omotesenke.jp/

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京都武徳殿(http://raku.city.kyoto.jp/m/sports/sisetu0035.html

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