行政書士石山政義による法務にキラリ その18

公証人役場の活用と行政書士の上手な利用について(6)
相続と遺産分割協議書の作成について(その2)
昨日は、思わず、いい気持ちになってしまい、眠ってしまいましたが、続きの約束をしましたから、まだ昼間だし、今日は頑張るゾー。
遺産分割協議書作成のために第一に必要であります戸籍謄本関係の収集に関しては御理解願ったかなと確信しておりますのでその②からいきましょう。
上記①が解決すればもう六割五分は終了、次に②を決めていきますが、その前に、苦労をし乍ら作るこの遺産分割協議書の目的、即ち、何のために作るのか、何処に提示するのかにより遺産分割協議書の内容というか書き方が微妙に変わってきますからそこのところも考えなければなりませんよ。
全員集まって目の前にある不動産権利証、現金、定期預金通帳、宝石でもなんでもいいですが、相続分をそれぞれ特定して、この現金は貴女、そこの宝石20カラットのダイヤと金の延棒五本は君に、っていう具合にやっていくのはいいのですが、これが定期預金、郵便貯金、さらには不動産となると第三者機関が絡んできますから、ハイハイっていうわけにはいかないのです。
といいますのは、例えば不動産を貰ったで権利証を金庫にしまっておいても他人には主張できない、ましてこれで金を借りようとか売っちゃおうは出来ないのです。つまりこの遺産分割協議書にしたがって国の機関である法務局に置いてある不動産登記簿にあなたの名前に所有権を移転して載せてもらってはじめてあなたは誰にも対抗できるし自由にできるのです。
それには先にも述べましたが、この遺産分割協議書にその協議した、不動産ならその内容を具体的に記載してく必要があります。それは定期預金でも同じことが言え、どこの銀行通帳、名義は誰、番号は、金額は、と具体的に特定していかないと預金してある相手銀行はあなたが遺産分割協議書でこの通帳の5000万円を貰ったからと主張しても拒否される可能性がありますから注意が肝要。ここでもやはりその道のプロである行政書士等に作成を一任したほうが良いでしょうかね、ハイ。
矢鱈と遺産分割協議書で誰が、何をどれだけと決めても確かにその協議書は有効でありますが、あとで泣きを見ないようによくよく考えて作りましょう。
最後に③を説明しますが、これは雁首揃えた相続人が確かに了解したということを担保確約するために全員署名、押印して印鑑証明書を添付するだけの意味ではありません。②で述べたようにそれが不動産であればその名義を被相続人からあなたに所有権移転するための必要書類でもあるのです。
したがって、相続人の誰かが、署名、実印を押印したはいいが印鑑証明書を忘れたけど、まあ、いいかア―、ってのはダメですよ、即日乃至期日を決めて、その相続人の家に行ってまでしてでも必ず貰ってくださいネ、それと印鑑証明書の有効期限は3ヶ月ですからね。不動産が絡む場合は出来れば二通づつ用意しましょう。当職においても遺産分割協議書作成に関わった事案でこの印鑑証明を出す出さないで裁判するかしないかまで揉めた案件がありましたから・・・。
以上、噛み砕いて本テーマを綴ってきましたが、遺産分割協議書に公証人(http://www.koshonin.gr.jp/)が如何に関わってくるかについて一言。この遺産分割協議書は法律にしたがって相続人全員が納得して署名、押印したわけですから前述したとおり相続人は勿論、第三者に対しても対抗できるわけで、公正証書の作成、認証にはなじみません。
但し、もし、この遺産分割協議書のなかでどうしても信用出来ない部分がありそれを履行してくれない可能性があるとか、負の遺産(借金等)の分担に関して協議した場合は相続人全員が公証人の面前にて署名押印をし、場合によっては強制執行約款を載せて貰う必要がありますから公正証書として認証してもらうことも視野に入れなければなりませんが、ここまでくると感情的な部分がでてきますので冷静沈着に処理できる方の介入なしでは難しいかもしれませんね。
勿論、公証人もアドバイスしてくれますが、やはり行政書士、弁護士、司法書士等を代理人として介在させ、まず、相続処分提案を相続人が提出、それをもとにその方法、文案作成までの全てを公証人とそれら委任を受けた行政書士等が打合せし最終的な協議書を相続人に示し、全員が了解した段階で公証人役場に出向く、っていうことになるわけですが。
当職が委任を受けた最近の例では相続不動産を一方(甲)が貰い、その不動産が売れたら、あるいは銀行から融資が出たらもう一方(乙)の相続人は現金3000万円を期限を付けて必ず貰うという遺産分割協議書でしたので、甲はその日を限度として履行義務がありますので乙としては履行違反の場合に備え、当然、強制執行約款を付した案件がありました。これは無事、不動産も売れ、事なきを得たのですが・・・。
停止条件とか負の遺産があった場合の遺産分割協議書作成は、あまり気持ちの良いものではありませんが、これが現実かな。
上記のようなことでなく証拠として公証人のお墨付きが欲しいとすれば確定日付という方法で公証人にお願いすることが出来ます。
この確定日付を付して貰うことの法律的な意味は、公証人が確定日付を付した日にはこの遺産分割協議書が確かに存在しいていたことを証明でき、当事者及び第三者等に主張することができますから意味はあります。これは何処の公証人役場でも書類を持参すればすぐに確定日付を付して押印してくれます。
おまけに一つ、遺産分割契約書の作成押印が終わって、やれやれと思いきや、また財産が出できたアって、安心してください。それはそれで先の分は有効ですし、出てきた財産についてもう一度、全員集まってやればよいのです。但し、先の遺産分割協議書の財産内容に影響を与える程のもの、(例えば地続きの不動産とか)が出てきた場合は全体の財産の見直しになりますからそのときは作り直しです。
如何でしたか、遺産分割協議書について、ある程度は御解かりになりましたか?
しかし、私、私人及び行政書士として書いてみて、改めて考えますとこの遺産分割協議書の作成には相続人及び財産の特定からはじまり原稿起し、法律用語の記載、公的機関、第三者に通用する内容の確保までと、なかなか一筋縄ではいきませんから出来れば行政書士、弁護士等の専門家ですかね。ウーン!でも相続人が少なく財産も少しだけなら、いけるかな。
当事務所におきましては、公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを数回にわたり、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。

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石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
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関連リンク
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公証人さん(http://www.koshonin.gr.jp/
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