鎌倉碧雲山房は雲襄庵主 石山政義の数寄ものがたりにキラリ11

碧雲山房は雲襄亭、石山政義の茶の湯と居合にキラリ その4(完結編)
あー、疲れた、今日も一日よく動いたなア〜、よーし!なんとしても今晩でシリーズ完結だア。
でも、没入するまえに一杯入れないと気分も乗らないんで失礼をば致してグイっとね。

於鎌倉碧雲山房内母屋 夜11時半頃だろうか この酒、実は中身は〆張鶴、流石、今宵は疲れて常備徳利までは手がまわらず  しかし、対する盃はキリリとした李朝三島平盃の優等生 やや大きいが、御覧のとおり、出来は抜群!そしてほんのりと春霞が如き雨漏りが景色に風情を添える う〜ん、呑み注ぐほどに霞は深まっていき、やがて夢心地となっていく・・・・・ズズズ・・・
だいぶ乗ってきたところでと、鎌倉はもう、桜は散り、今宵は皐月だ、じゃなくてツツジさ、っと、相変わらず鎌倉を訪れる方々の無責任な会話を聞く季節になったが、そういえば、昔、住んでいた大町の近くにある安養院の皐月は整然としていて綺麗だったが、究極としての丸刈剪定手法による姿にはどうも違和感があって、感心しなかったが、いまでも踏襲しているのだろうか。
だいたい、松だの、庭杉だのと常緑樹は特にそうだが、景観対象自然物を弄りたがるのは本格的な庭思想がはじまったといわれている平安時代からあったらしいが、丸、三角、四角に刈上げるってのは算数か子供の絵じゃあるまいし、自然を愚弄するものとして、拙僧の感性としては到底受け入れるものではない。が、人間に思考能力とそれに基づく様々なる観賞方法がある限り、当たり前のことには飽き足らなくなるのもむべなるものかなあ・・・・・
と、前置きはそのくらいにして、畏れ多くも畏くも前回終了することができなかった居合いと茶の湯、とどめのその4ということで、本当の完結でありますれば、なにとぞ拝読して下されい。
でと、はなしを雲襄亭に戻して、そう、数寄ものの居合求道者等五人囃子を待合に案内した拙僧は、素早く、茶室内を見回り、床はそのままとし、席を再掃、炭と釜湯加減を確認し、炉中には練香を、そして四畳半本勝手の定石通りに古備前水差しを置き合わせて準備万端。水屋では律儀氏が勝手口隅の定座?で今や遅し、っとばかりに主茶碗に茶杓が準備され、対する蒔絵棗も、内には香りも豊かな抹茶がテンコ盛りになってることだろうし、舌鼓女史といえは、台所で手間のかかる懐石道具の片付けに余念がない。
さて、刻限にしたがって、客人は再度席入り、着席したところで拙僧は作法通り茶碗、棗を持ち、点前座に。本番に強く、しかも点前も確かな拙僧のこと、況や薄茶にあってをや、っとは言うまい、薄茶こそ慎重に、しかし軽やかに、華やかに本日に見合った点前を、全てこれ無念無双に致すべし!とは居合いの精神とも真に一致することでもあるのだ。
それらを実践するに相応しい、本日の主茶碗は黄伊羅保茶碗、全体が濃黄色とはいふものの、複雑なる伊羅保独特の細かい石はぜと色合いは著名な伊羅保と比肩しても勝るとも劣らないと自負している一品。
そして石州流独特の節下(おつとり)と、切り止めもキッッパリとした平戸藩松浦鎮信公作の茶杓を、かれこれ20年以上使用してるズルズルの大徳寺紫の袱紗によって、一回、二回と大きく、重く、ときには軽やかに、ゆるゆると、しかし小気味よく捌いていく。
茶の湯における点前作法の秘訣は一瞬たりとも動きを止めてはいけない。そう、点前巧者?を自認している拙僧は、間断のない清流が如くサラサラと、清めた茶杓を右に構え、間合いをとりながら、ややふっくらとした左手を蒔絵と青貝を鏤めた粋な棗にスルスル、ッと伸ばし、茶碗手前に取り込んでいく。
棗を左に、鎮信公茶杓を持ち構え、一杯一杯また一杯、と、詩仙李白の詩の如く、おおさわやかに、スッ、スッ、パッと茶碗に呑み込まれていった緑の抹茶は釜から響く蕭蕭たる松風のリズムにのり、柄杓から点ぜられた湯音とともに高貴なる香りを伴って雲襄亭を染めていく。
間断ない動きは、さらに茶筅を迎えていく。そして茶碗と、点じられた抹茶が醸し出す浩然の気を全身で掬い上げるが如くゆっくりと茶筅を上げ、定位置に戻し、ゆるりと茶碗を客座に御出しする。しかし、決してサッとは茶碗から手は離さないのだ。全てこれ序破急、居合いでいえば残心、といったところか。

於鎌倉碧雲山房雲襄亭 無心の産物 美味そう・・・・黄伊羅保茶碗と点ぜられた抹茶との妙なるいろあいは、すこぶる微妙で日本的だ  また、青い畳と畳目の直線との対比も重なって不思議な世界を創り出す・・・
でと、サラリと点てられた薄茶は半東役を介して御正客に。そう、主客一体、至福のひとときである。
黄伊羅保茶碗を大事そうに抱えた蓬莱先生、姿勢を正し、いかにも上方らしい上品な喫しかた、感服、感服!っといったところだ。
続いて二客には明時代人形手茶碗、そして古唐津は奥高麗手茶碗へと続いていく。そして、またしても油断のないヤジロベイ士が曰く「師匠に出された、それ黄伊羅保でしょ、高台がたまらないねえ、そこの奥高麗茶碗、なんで御亭主が持ってんのヨ、ったく、こんな渋いの、まだ早いんじゃないの。しかしこの雨漏りと土のやわらかさ・・・欲しいなあ〜」すると末客であるイマイクゾウ士が横から独特のいい声で「ウン、その、こちらの御亭主は毎年年末に師走茶事やってたから、道具すごいよね、それと、水屋の方々もプロですよね、いやあ、頭下がるよね、ほんとに、いや、ほんと、ほんと」と。あれ?いつもながらの感情半分、御世辞半分とはちょっと違うなあ、それと、どことなくソワソワしているのも気になる。
そういえば、薄茶が始まって、彼は一度、離席してたなア、普段忙しい身だから、さもありなんとか想って四客目の茶を点てていると茶室の表から「イマイクセンセー、何処ですかア〜、」とか言いながらハアハアして山を登って縁側に座り込んだ二人の突然の出現に拙僧は、さては、源氏山から紛れ込んだ輩かとおもいきや、バツが悪そうにイマイクベイ士曰く「いや、合気道をやってる二人が、どうしても今日の居合いと茶事のなんたるかを拝見したいといって聞かないものだから、ッいやア、御亭主、すいません、言ってなかったな、いっやア〜、ほんと」
なんなんだ、ったく、とは言うまい、そこはやはり臨機応変、順応性抜群の拙僧のことゆえ、こう言って、茶室内に案内した「そーでしたか、まッ、どうぞ、中に入って薄茶一服召し上がってくださいヨ、饅頭あったかな、賑やかでいいですよねエ」っとかなんとか繕ってイマイクベイ士をちらり垣間見ると、まだソワソワしているではないか、オっかしいなあ〜、まだなんかあるなア〜、っと、不安げに、この突然の訪問客連に茶を点ててると、先程から閉めていた障子を通して今度は女性の艶かしい声で「すいまッせ、エ〜ン、こちらの鎌倉の山の大寄御茶会席に、イマイクさんはおられますでしょーかア〜」って、エーッ、まただア〜、今度は女性かい、勘弁してよ、しかも話がだいぶ大きくなってるジャン、ちゃんと事前に言ってくれよなア〜、モー、とは言うまい、想うまい、態度に表すまいぞ。茶人であり、倫理学9点で、数寄者でもある拙僧はどこまでも寛大なのだ。
イマイク士は首に手をあてても回らないらしく、申し訳なさそうな躰、まあ、いいではないか、ということで、ここ雲襄亭の茶室は拙僧を入れて9名、水屋を加えれば11名という前代未聞の大所帯となり大繁盛と相成った次第。
そして、鎌倉碧雲山房の雲襄亭は四畳半の小宇宙と化し、居合い、合気道茶の湯三昧と相成り、ひとつの真実となって又々時空を超えていったのである。まことに数寄なればこその世界であった。
参考までに、当日の道具組を・・・
平成21年3月15日於当山碧雲山房 雲襄亭茶事
懐石
向付 平目昆布〆  器 黄瀬戸四方向付 北大路魯山人作 共箱
酒器 朱盃     七代宗哲作
 酒 久保田千寿
煮物 貝柱シンジョ 菜の花 器 蒔絵秀平椀写し
強肴 炊合せ(海老、竹の子、蕗) 器 李朝三島深鉢
同2 和え物(にんじん、だいこん、その他) 器 古染付山水図扇面形 
飯  生姜とずわい蟹炊きご飯を竹皮に包んで 器 杉木地(八寸四方盆を代用)
香物 白菜・大根    器 唐津
饅頭 桜餅       器 呉洲赤絵

縁側にて休憩

本席
床  橋本雅邦 画 桜観図 床に橋本雅邦画帖を置いて
香合 南京赤絵
花入 なし
 花 
釜  芦屋 霰釜
水差 古備前
薄器 独楽青貝蒔絵   江戸時代
茶碗 黄伊羅保 古唐津 人形手
茶杓 松浦鎮信作 共筒
茶銘 老松 林屋製
干菓子二種 鎌倉豊島屋製
                             以上



石山政義 法務・行政事務所

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