数寄モノ語り その167 鎌倉碧水舎道場での即効床飾り

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 道場飾り 「真空」 於碧水舎道場


10月も半ば過ぎ

鎌倉もようやく肌寒くなってきた

このまま一気に冷えてくると紅葉が愉しみになってくるのだが・・・

さて、先日、鎌倉碧水舎道場で撮影会があった

私が成り合いとしている居合のそれではなく

弟子の空手撮影というわけだ

で、ここは是非とも居合師匠としては雰囲気を盛り立てるべく

即効床飾りを考えたものだ

朝から庭の周りをうろうろして摘み取った花々

芒(すすき)を中心に笹の葉を回りに散らせて濃淡をつけ

下段に金銀みずひきと紫式部を扇状に左右真ん中ななめに投げ入れてみた

花入れは室町時代の古信楽大壺

そして軸は「真空」

妙心寺派、神月徹宗の強烈でガツンとくる墨痕!

空手の真を問うに誠に相応しい禅語だ

この日は海外向け用だとかで機材を運び入れて夕方6時30過ぎまで

彼の空手友人とかでレスキュー隊部長とかなんとかという輩が3人程列席

偶さか小生、午後は時間があった、ってゆーか作ったのだった

で、その撮影用の通行人として邪魔にならない程度に

少しでいいから入らせてくれといったものだった

彼らはただ笑うだけで相手にもしてくれなかった

仕方なく久し振りに鎌倉辺りをぶらついてみた

そして小町通りにある田中古代美術店をひやかし半分に覗けば

御主人が暇そうにボケ~ッとしているではないか

聞けば昨今の災難で骨董屋連も大変みたいだと

市場は今でこそ小規模で動いているが8月までは全くの閉鎖

とくれば当然にお店にも人は来ないのも当然のこと

閑古鳥どころのハナシではないわけだ

感心のあとに気の毒なことだと同情の気持ちを表して早々に道場に戻ったものだった

道場窓越しから見遣れば力の籠った撮影はまだまだ続いている

そオ~っと入って、傍らで、後生だからサ、やられ役で入らせてくれといってみたら

キャッッキャっと嬌声あげてサ

それっきりときたもンダ

ふうーッと諦めて徐に窓外に振り向くと

夕暮れがかった東の空にトンビが紅葉色づいた雑木のてっぺんを

くるくると回っているのが見えた

季節の移ろいを感じた瞬間であった・・・・・