数寄者 石山政義の時空遊泳 その128  小杉小二郎の蝶画

当山房、4月から5月初めまではシャガの花が絨毯を引きつめたようにビッシリ

しかしそれも終わりを告げ、今は皐月が艶やかに咲き乱れている
湿気を好むしゃが花が陰とすれば日当たりに咲く皐月は陽といったところか
その皐月の蜜を慾して白、あるいは紫、黒の蝶が軽やかにそして優美に
羽を広げては転々としていく
さて、漆黒のなかに浮かび上がる蝶の画
油彩画家、小杉小二郎の水彩画小品だ
幻想的だが決して軽やかでも優美でもなく
皐月の花を巡りながら蜜を美味しそうに吸うようにはとてもおもえない
どちらかといえば華やかさの中に不気味な暗さを感じるもの
それは陰の蝶、といったほうが相応しいかもしれない
が、人間であれば誰もが備えている部分ではないか
小品ながら含蓄に富んだ作品だ