鎌倉碧雲山房は雲襄亭主　石山政義による数寄者の時空遊泳にキラリ５５

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この度の東北地方太平洋沖地震での甚大な人的、物的、そして結果としての精神的なショックとケアには壮絶なものがあるかと存じ、この為には日本国中の叡智を結集してその努力をすべきかと考えます。
私としても一体、何が出来るのかと日夜考えておるところであります。
話はかわりますが、３月初句における恒例の鎌倉は御成町スターバックスにおける拙僧が居合リーフレットは矢継ぎ早の仕事だの確定申告だので遅れておりましたが本日、完成致しましたので例によってその一部を掲載させていただくことに
ではいきます
「■　碧雲山房の時空遊泳(９)
先の地震ではとてつもないエネルギーが発生、自然は偉大だが計り知れない怖さもある被災地の皆様の一日も早い回復を御祈りする次第

では茶事の続きを（前号はこちら）。
碧雲山房の鐘が鎌倉中に鳴り響いて席入りした六人はなんだかニンマリして相当な上機嫌の態
早速に懐石を慇懃に、しかし素早く茶道口から正客、次客へと手渡していく
料理に舌鼓を打ち乍ら久保田の碧寿で一杯、また一杯と詩仙人李白よろしく早くも酒は底を尽き、次なる酔鯨の大吟醸を取り出す
そして頃合いを見図って煮物一品、強肴三品、そしてズワイ蟹の炊込飯、汁､香の物と続き、御預け徳利の高麗青磁を亭主代わりにドデンと置いて早々に逃げる！？
そう、ここで酒を呑めだの何だのと捉まったらあとの亭主が濃茶点前に支障をきたすこと必定　そう、恐らく拙僧のこととて酔鯨に乗っかってとんでもない濃茶を点てることになるのだ
ここは用心して一言「すんません、ゆっくりなさっておくンなさい、私はちょっと水屋で御相伴をっ、へッへ！」っと一方的に言ってのけ、後ろ髪引っ張られつつも、ここは毅然と茶道口をピタリと閉めて暫しの御相伴休みということに
さて、朝８時半の下準備から休みなく水屋で奔走している料理、道具方を心底、労わりつつも水屋常備の古唐津でちょっと一杯、う〜ん、こりゃたまらんわイ！　イッヒッヒ！五臓六腑に沁みる、とはこのことだ
料理方が丹精込めて作ってくれた海老しんじょ、和え物、そして炊き飯等の懐石料理を慌しく胃袋に入れ、再び席中へスルリと入り込んでここは所謂、千鳥ってやつの省略版とういことで正客等と一献交わすことに
魯山人の黄瀬戸四方向付けに盛られた海鼠、これがシコシコとして酢と出汁の具合ももよく、たまらなく旨かった
そして八寸に盛ったるは山のものは丹波黒豆、海のものにはこれまた珍味のカラスミも御大尽ばりにぶ厚切りにしてゴソっと盛付ける
こうなると次客、三客との酌み交わしは俄然、忙しくなるのだが、ここはひとつ適当に御勘弁願い、御膳片付け､美味しい饅頭食していただいたところで客人は再び待合へ
素早く室内を片付け濃茶の準備に入る拙僧と水屋道具方、床の本阿弥光悦歌に代えて松浦鎮真の一重口竹花入れに掛け替える
花は西王母椿に南天の実を低く垂らし、決まったところで床壁に水を打つ
点前座には古備前の水差し、古瀬戸濃茶入を飾って準備万端
さて、濃茶への誘い合図に再び鐘を鳴らすと果たしてまたゾロ寄って集って鐘楼鳴らしの繰返しにもはや言うことなし
暫時席入り後、客連も亭主も無一物､只管濃茶を点てる正に本日のクライマックスってところ　一碗の宇宙に六人の客は一体となって色即是空の世界へ
今宵､四畳半の茶室はまさに時空遊泳を体験したわけだ　
にしても今日はぽかぽか陽気がいいなあ、そういえば約４ヶ月アイスコーヒー呑んでないここはひとつ山を下りてスタバだな　　　　　　　　　　　
2011. 3 . 吉日　弥生
スターバックス鎌倉御成店:　0467-61-2161」