行政書士 石山政義による数寄な時空遊泳にキラリ 恐怖の山シリーズ第8弾(その6)

石山政義の恐怖の山シリーズ第8弾(その6完結編)

於当山鎌倉碧雲山房 秋海棠の群生があまりに鮮やか故に撮影した次第。にしても夏からはじまり今の時期まで咲く花も目面しい しかもかわらぬそのあでやかないろと姿には敬意を表してしまう 変貌していくのはわれわれか・・・うーん、秋の気配とともにどことなくものかなしくはある
さて、前回の続きをば、そして完結編であります、ではいきましょう。
雪のなか、ふたつの恐怖を抱えながら尾根を詰めた我々は、小屋らしきものを一切見つけることが出来ず、仕方なく一本の尾根づたいに降ることにした。
ようやく風もおさまったものの雪は相変わらず降っている。しかし30分歩いたが、路らしきものもない。
足取りも重く白灰色の周りは次第に黒灰色に変わりつつある。
まずいな、闇になったら、動きが全くとれなくなる、っと、漸く回りに樹木が見えはじめた。森林限界に戻ったことを告げている。ホっと、してる暇はない。まだ我々は青木ケ原に迷ったなどとは考えていなかったのだが入っていけばいくほど森林が深くなっていくではないか。いったいこれは・・・・・
ここで漸く我々はことの重大さに気付いた。拙僧は「おい、まずいぞ・・・こりゃ青木ケ原じゃないのか、戻ろうか。しかし雪で跡が殆ど消えちまってるし、戻るに戻れないってのはこのことだ」
すると彼は真っ青な顔をして「万事休す!結構、浸入しているか・・・もう5時回ってるし、イシさん、これはビバーグして明日に備えようか。」
続けて「あそこに穴がある、シュラフは持っていないが、ダウンジャケットとヤッケで凌ぐしかない。ただ食料がイシさんと俺とで板チョコ二箱、パン2個、ラーメン2個、それにガスボンベ1本あるからなんとかなるかな。あッ、それとイシさんの歌舞伎揚げ、何枚あるの・・・」
傍らで聞いていた拙僧は、(ヘー、結構冷静だなあ)と感心しきり、だが、こう応えた「なに言ってんだ、こんな恐ろしいとこから早く這い上がろうぜ、ビバーグなんて、況や、おまえと雪洞で寝るのは真っ平だネ。兎に角、上へ戻ろう、早くザックを背負っていくぞ!寝ぼけんじゃねーぞ」っと厳しい口調で言ったものだ。でも例の歌舞伎上げはあと3枚あるが・・・・
ということで彼をきつく説得して、もと来た路を戻ることにしたのだが、我々のアイゼンの跡は全部消えているから恐ろしい。しかもどこまで行っても樹林帯、しかも360度、景色と樹林の高さは変わらないから始末に負えないのだ。
すると、彼は思い出したように「イシさん、確か、20分ばかり前に左側に高い木が二本、綺麗に並んでいたような気がしたが、違ったらごめん」
アッ、そうだ、あのとき路のようなものがふたつあり、それを判別するときに彼の言うとおり右か左に背の高い4メートルばかりの木があった筈。よし、気を取り戻し、拙僧はこう言った「流石だな、おい!たしかにあった。そこを目指そう、暗くなったゾ、急ごう」
冗談じゃない、ビバーグなんて、況やこんなところで死んでたまるかバカヤロー!っと、自分に言い聞かせながら、渾身の力を振り絞って、我々は上へ々と登っていったのであった。
登ること30分、あった、あったのだ!二本の木が。
そこで、目を皿にして、もう一度周りを確認してみると、鳥居らしいものがあるではないか、すごい!ひょっとして路も・・・しかしそれはなかった。
だが、鳥居があるということは人間が人為的に入り込んでるわけだから、我々は薄日が射したおもいで、出来るだけ平行に、お互いの動きが分かる半径50メートルを限度とし、声を掛け合い、そして死にもの狂いで路らしきものを探したのだった。だが、周りは既に暗く、雪山独特の白黒い灰色の世界へと変貌しつつある・・・時間がない。
我々は、間隔を保ちながらこのパターンを何回か繰り返していたが辺りの暗さについにはヘッドランプを着用、まずいぞ!なんとか路よ、現れてくれよオーっと必死のおもいでさがす、っと、また、あの忌まわしい「リングワンデイリング」とう響きが地獄の底から這い上がってくる。くっそオー、なんとかならないか、ダメなのだろうか、あいつも俺と同じおもいなのだろうな。
帰還できなかったら・・・ビバーグとそれぞれの家族と職場への連絡のこと、遭難捜査がはじまるかなあ、とかが次第に現実味を帯びてくる。そして日はとっぷりと暮れつつあった。
っと、突然、先を行く彼が叫んだ!「イシさん車だ、ジープだ!11時の方向を見てくれ、70メートル先だ。違うか!」
その、あまりの奇声、といっていいくらいの彼の言葉に驚き、狂喜し、素早く拙僧は雪上を走りながらその方角を見遣った。薄暗く時々、雪が強くなるので霞んでいる。さらに距離を詰めていく。
瞬間、降雪が切れた、っと、いた!車があったのだ!幻影でもなんでもなく確かに車だ。
やった、生きた!生かしてもらったゾ!そして彼に「オイ、やったな、よかったよ、俺たちは助かったのだ。ジープにいってみよう、まさか捨てた車ともおもえないし、おもってはいけない」すると彼は「とにかくいこう、人がいたらいいのだが・・・」と不安そうに言う。
その白いジープは静岡ナンバー、タイヤにはスパイクを巻き付けており、あきらかに人がいるはずだ。そおーっと、運転席を覗くと・・・人がいない・・・のだ。エッ、雪が小止みになったとはいえ辺りは真っ暗、おもてに出る理由はない。まさか、捨て置き・・・・彼と手分けして周りを少し歩いてみると、40メートル程先に人影がみえた、歓喜して声を掛け「すいませーん!と叫ぶが返事がない。しかしその人影は動いている。さらに近づくと手にはカメラに双眼鏡、雪上には三脚に天体望遠鏡、そしてグレーのダウンジャケットを着込んでるその人物は銜えタバコ。
ひとの気配に気づいたらしく、びっくりして我々二人を見詰めている。この間、約5秒。
むこうから開口一番「どうしたんですか、こんな時間に。それに登山ルートは180度反対側ですが・・・」と訝しげに尋ねてきた。拙僧は落ち着いて正直にこう言った「はい、知っております、我々は山頂登攀を目指していたのですがアクシデント勃発で下山を余儀無くされ、生憎の吹雪で下山ルートを誤り、青木ケ原に入り込み危うく抜け出し、その後は完全に迷って、いままで彷徨っていたのです」
身構えて黙って聞いてた相手は急に構えを解いた様子、そして和んだ雰囲気で「そうですか、状況が把握できました。それは大変だったですね、滑落もそうですが、青木ケ原に迷いきらなくてよかったですね」続けて「これからどうされるのですか。下るのでしたら私の車で下界まで乗っていきますか、まだ、星の観察が終わっていませんが、こんな雪と雲では仕方なく帰ろうとおもった矢先でした」
やったアー、我々は救われたのだ!一気に緊張が解け、ヘナヘナになって地にしゃがみこんでしまった。
拙僧と彼は握手を交わし、そしてこの御仁とも握手を交わした。そのときのこの御仁に放たれた後光はいまでも忘れられないことでした。
そして暗い車中で揺られながら、我々は戦い終わった戦士の如く疲れ果てて深い眠りに入っていったのであった。
おわり

あー、山って怖いけど、やっぱり愉しいですね!
いかがでしたか、今後、当職の聖職である行政書士としてのキラリ日記を挟み乍ら思うが侭につづっていきたいとおもいますので楽しみにしていてください。
では、また。

石山政義 法務・行政事務所

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