2月にしてはやけにアったかい
庭の梅が一斉に咲いちまって
しかし、こんなにナマ暖ったかいンじゃ、桜も開花してしまうのを恐れる
さてと、世間ばなしもこのへんにしておいて
久しぶりに茶の湯のはなしをひとつ
2月初旬に、っとある茶事に招かれた
とはいっても1席13人程度のちょっとした大寄せ
亭主はいわゆる、さび道具屋(古美術茶道具専門)だが関東では3本指に入るほどの目利きだ
曰く、道具屋開業以来の初陣茶事だと
去年暮れから請われての出席強要、イヤとは云えず、まあ、悪い気分はしないがネ
したがって道具組はそこそこ聞いていたし、気張ったモノも出すとか・・・・・
しかし、平日の、仕事もそこそこ切り上げて行った会場では和服オバさん連がワンサカ
部屋への案内や遅し、っとばかりに息巻いてるのはいつもの見飽きた光景だ
そして襟元の崩れた、 締まりのない袴姿のオジサンの案内のもと
茶事は始まったのだった
まずは寄付きから
14畳のなか、席順への思惑がはじまるのだ
連中かき分け、拙僧としても正客だの次客は避けつつも、何故か末客(詰め)と相成ってしまった
マア、仕方ないか、これも亭主を盛り立てる御役目に適えばと観念した次第
(茶の湯の世界では寄付きの席順は本席、薄茶席へそのまま踏襲される)
早速、細長く青海苔を塗せたといううぐいす饅頭が・・・
襖の傍らから待ってましたとばかり、饅頭作った京都の主人が出てきた
あれこれとウンチクを並べる
サッパリした味で気に入ったところに、あの喋りは余計なことだ、とおもった
さて、寄付き正面、二間床の間には曽我蕭白の水墨
その下には本席で使用する道具の箱がズラリ
饅頭も食ったことだし、オバさん連に引きずられながらダラダラと本席入り
それでは本席での道具をば
床 一休 梅花に七言絶句 (自画賛、小品、モノはよいと)
花 ときのもの
花入 粉引徳利 (4合は入る 雨漏りもほどほど)
香合 鳴海織部 はじき (キッチリしたもの)
釜 芦屋 栗口に獅子環付 (霰文もしっかり、栗口、獅子環付も鋭い)
水差 南蛮縄簾 (欲しいナ、でも高さがもう少し)
茶入 大棗 (古いもの、大振り)
茶碗 志野 (亭主自慢のモン)
替 瀬戸黒 (土見せの高台、高台周り、漆黒の釉薬、典型)
替 瀬戸唐津 (見込み深く、チト固いかな)
茶杓 杉木晋斎作 共筒 (過去の某目録にも掲載、代表的)
茶 京都製
道具は彼なりの良いものを揃えて奮発したなア
特に志野茶碗は古格あって緋色も鮮やか、吉兆美術館にある広沢に近い
これが地味な南蛮水差しにピタリ
亭主もサッパリとした手前で末客から一言
「重くもなくサッパリした手前でよかったじゃン」と
お次は大橋茶寮の懐石だが特に云々することもないかナ
まあ、あの茶寮は懐石道具沢山あるから道具出しには事欠かないだろう
それにしても大広間での懐石で特記すべきことが一つ
次々と老若男女の着物連給仕が江戸人形のように沢山出てきたことだ
20人はいたゾイ
続いて薄茶席へ移動でお開きということに
床の間の大徳寺、清巌の横一行はよかった、一文字風帯が本紙を引き締きめてるナ
終わってみれば16時30分だ
事務所へ戻るのもなんだし、何処か駅近の飲み屋にでも入って一杯やることにしよう