数寄モノ語り その172 狩野探幽の不気味な減筆画

さて、久し振りにブログを投稿

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    江戸幕府、宮内御用絵師、狩野探幽筆「三日月に柳図}69歳の作品

 

日曜の朝方

ちょっと時間があったので茶室の横にあるお蔵の整理をば

古色整然とした古画の箱を確認していながら

っと、気になって取り出したこの一品

母屋に運んで三畳台目に灯りをいれる

キシっという音とともに開けられた桐箱内には几帳面に巻かれた軸が一本

その独特の防虫香の匂いが茶室を漂い、気分は次第に高揚していく

そして徐に軸を取り上げ、包んでいる正絹を丁寧に払い

軸紐を解き、床の間天釘に掛け、ササッっと軸を下して現れたこの古画

煌々と輝る寒三日月に右から垂れる柳が数枝

単純で、その枯れた筆法は住吉、土佐派、

あるいは当時一世風靡した琳派にはない独特の筆法と表現方法だ

注目すべきは柳の枝先に対する筆の執念だ

それは観る側にとって余韻としていつまでも残っていく

流石、狩野派の中興の祖ならではの一品

ただ、この構図と落款から想像するに

二副対か三副対の離れの可能性もある

っとなると対するものは・・・・・

想像するのも鑑賞のひとつと心得ている