さてと、久し振りに茶の湯のお話しをば
この一品
表面的にはどこにもある桑の木で作った、所謂、ズンドウ型の地味な中次茶器
元々は薬器から始まり、陶磁器製の濃茶入を保護する挽家に
それが見直されて、寂びれた濃・薄茶器として今日に至っている
しかしご覧のとおり、地肌も然ることながら色も地味
茶室内では間違っても目立つ存在ではない
ところが、いったん蓋を開けるやいなや
ご覧あれい、眩いばかりの金箔の光が暗い茶室に光彩を放つのだ
おもえばかつての桃山時代
日本国を平定し、ときの権力に君臨した豊臣秀吉
美術工芸品から果ては黄金茶室に至るまで
絢爛豪華な振る舞いを魅せ、金銀を尽くした時代
千利休の冷え、枯れの世界を理解しつつも
それを、よしとしはしなかった・・・・
そして既成観念を超越し、時空を超え、はるか彼方を目指した秀吉であった
権力の象徴である城の造りから装飾、調度品
将又、辻が花という衣装に至るまで、金銀尽くしの世界があった
日本歴史は別にして、文化を考えると非常に重要な分岐点だ
さて、この茶器と意匠
桃山時代に存在したか否かは分からない
しかし、その桃山時代の思想と感覚の一端を伺わせる一品ではある
っとおもう・・・・