鎌倉は碧雲山房 石山政義の時空遊泳 鎌倉の四季20

数寄者石山政義の洞庭秋月亭における茶の湯その2(その1はこちらから)

鎌倉は当山碧雲山房にて・・・秋らしい早朝の日差しが竹林を照らす。
木漏れ日ならぬ竹漏れ日といったところか。凛々しく、直線的で鋭角ながらしなやかさをもあわせもつこの竹林、いにしえより文人墨客達に好んで描かれ、また禅の世界でも公案として随所に用いられたことも、なるほど道理だなと納得。にしてもまことに清々しい朝であった。

前回同様、仕事でなくって、茶の湯、茶事の続きということで、数寄者の戯言とおもってサラリと御読みくだされ。
さて、茶事を催す客組、水屋、懐石、全てが揃ったところで、今度は例によって苦しくも楽しい道具の組み合わせだ。
すなわち寄付きの飾り付け道具、本席での懐石料理に盛付ける道具、そして後半の濃茶、薄茶で大いに活躍するところの点前道具の選択は決して疎かにしてはいけない、正に亭主のセンスと機知が問われる。これが怖いのだ。
加えて今回のメンバーは四六時中、茶事だの茶会だのにうつつを抜かしている歴戦の数寄者連でもあるからひとつたりとも気を許せない。しかし、亭主甲斐のある茶事なのだ。
とか、あれやこれやと考えながら作戦を練っていくと、俄然、闘志が湧き、腕が鳴り響く。
まずは、寄付きには森 寛斎画の冬枯れのなか、寺を訪ねる貴人の図で、今回の茶事の趣旨にはピタリ。
床には師走茶事恒例である唐時代、十二支鏡を置き合せる。
書院棚には、砂張丸盆に細かな石を敷きつめ急峻に聳え立つ山並みとその間からスピードを伴って落ちてくる滝を創造できる盆石を置き合わせ、広間には関東の塗師、名人渡辺喜三郎初代作の溜め塗りと真塗りを併せたセンスのよい手炙り対をメートル間隔で配置し、寒さに対応、とうことで寄付きは万全。
つづいて懐石料理に使うところの向付、四ツ椀、煮物椀、焼物鉢、強肴鉢二つ、箸洗い椀、香物鉢、八寸、そして酒にはなくてはならぬ朱盃と燗鍋、さらには預け徳利と石盃を矢継ぎ早に決めていく。勿論、今回の料理献立を考えながらだ。
特に徳利と酒盃(石盃)に関してはうるさ方ばかりで目を皿のようにして光らせている輩であるによってここは拙僧御自慢のものどもに出陣願うことに。
そう、徳利は高麗青磁瓶、酒盃は李朝粉引杯、唐津杯、万暦染付四方杯、明時代の色も鮮やかな青磁馬上杯、そして黄瀬戸六角杯で決まりだ。オッと、酒杯のはなしになると、つい過ぎてどうしてもそれの選択がさきになってしまう、困ったことだが、この石盃探しに日夜奔走の繰り返し。
仕事終わって、疲れた身体を引きずり、古美術商の暖簾を潜ってはまず開口一番、主人の首捕まえて「ぐい呑み!奥に隠してるんじゃないだろうね?」とか「たのむから観せて」などとで脅してはなだめ、あるいは懇願し、まさに粉骨砕身する拙僧としてはここは譲れないところ。
しかし、なにやかにやいっても主役はなんといっても向付。なにが主役かって、最初から最後まで御膳の向うにデンと座って、次から次へと運ばれる懐石料理は殆どこの向付で迎えて食するので出番が100パーセント!
ここはやはり、中国は明時代の金襴手ということに。素焼きの陶器に赤絵で全体を塗り、その上に金箔を全体に焼き付け、牡丹、鳳凰等の花鳥を線彫り、もう一度窯で焼くという技法をとったこの金襴手、まことに豪華絢爛極まりない贅沢の一品。
懐石で扱う折敷、煮物椀、飯器等の全ては先の渡辺喜三郎初代作を使うことに。
以下、懐石の器と料理を記しておきましょうかね。

  • 飯  白飯 /喜三郎 初代
  • 汁  南瓜に小豆・合せ味噌 /喜三郎 初代  
  • 向付 平目混布〆 /金襴手 明時代 井上家旧蔵
  • 燗鍋 光琳紅葉に鹿図 蓋・織部 /江戸時代 萬野家旧蔵
  • 朱盃 宗哲 八代   
  • 煮物 蓮根餅・青菜 柚子 /喜三郎 初代
  • 焼物 黒むつ幽庵 /萩手鉢 江戸時代    
  • 強肴 湯葉にほうれん草 /黄瀬戸 桃山時代    
  • 強肴 季節菜の三杯酢和え /高取 江戸時代    
  • 八寸 ぎんなん・車海老 /木地
  • 箸洗 梅と松の実 /喜三郎 初代     
  • 漬物 柚子白菜巻・沢庵 /唐津靴 桃山時代
  • 徳利 井戸堅手/李朝時代 高麗青磁瓶/高麗時代
  • 石盃 黄瀬戸・唐津桃山時代 青磁馬上盃・萬暦染付四方盃/明時代 刷毛目・粉引/李朝初期  
  • 菓子 冬柴(源太製) /縁高

前半の取合わせはこれで決定だが本来、焼物はマナガツオかアマダイを使いたいところだったが、この度の懐石料理長築山庭前氏曰く「東京築地出入り業者ではうるさがたの主人が言うには、今日は良いのが入ってこない!」ってことだから仕方がないところか。
続いて、いよいよ本席の道具組み、これがまた頭をひねるのだ、といっても拙僧の蔵はせいぜい数十点でお里が知れているものの誠心誠意尽くすのが茶人の、そして数寄者の常なる心構えであるのだ!そして寂しい道具もこれまた、わび数寄なればこその道ぞっ、と言い切ったのは千利休か、片桐石州だったではないか、などと自らを納得させるのも毎度のこと。
さてと、こたびの趣旨、客人、前段で懐石に出した器とのバランス、そして季節と、これら四つを考慮しながらのあと一ヶ月ちょっとだ。毎日、聖職に励みつつも茶事の妙案を想っては、苦しみ、楽しみ、笑ったり、困惑しながら七転八倒する拙僧なのであった。

つづく、

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茶の湯 遠州流http://www.enshuryu.com/enshuryu.htm

茶の湯 裏千家http://www.urasenke.or.jp/index2.html

茶の湯 表千家http://www.omotesenke.jp/

根津美術館http://www.nezu-muse.or.jp/

鎌倉円覚寺http://www.engakuji.or.jp/index.shtml

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京都武徳殿(http://raku.city.kyoto.jp/m/sports/sisetu0035.html

鎌倉鶴岡八幡宮http://www.hachimangu.or.jp

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