鎌倉は碧雲山房 石山政義の時空遊泳 鎌倉の四季21

数寄者石山政義の洞庭秋月亭における茶の湯その3(その2はこちらから)
鎌倉は碧雲山房の母屋から東南方向を見遣るたびに対岸の山並みは赤く、あるいは黄色く刻々と染められていく。
当母屋も周りだけは落葉樹が多く、一日経つとデッキには、黄色だの赤、ピンクの落ち葉が散在し、目を楽しませてくれる。が、落ち葉拾いは拙僧の役目であるのだ。
しかし、これはこれで結構嬉しいもので、ザザッ、カサ、!っとかの音が山に響き、なにを考えるのでもなく、箒と蓑を抱え、落ち葉を追っては拾い集めていると時間の経つのも忘れていく。
そして後ろからまた、一枚、三枚と落下してはカサリと音をたて、戻ってはまた拾う。フー、まあ、これも風情だな、と素直に受け入れてしまう。
もう10月か・・・これから11、12月と季節は確実に移ろっていくことだろうし、しかと受容していかねばならない。そう、例年のことながら秋から晩秋はことのほか、その感を深くする拙僧であった。

鎌倉は当山碧雲山房において 玄関正面は出窓の、ど真ん中に置き合せたる鎌倉時代の四耳壺。
恐ろしく地味なるも、つわもののどもが夢ものがたりでも語ってくれそうな、静かで力強く、しかしどこまでもやさしい四耳壺に枯れススキを投げ込む。
この時期になると母屋裏手の傾斜のある庭の二箇所に群生するススキが一斉に穂を垂らす。
朝方、ぶらりと庭を散策。一興と想い、二、三本摘んできて、キンミズヒキを添えてこの四耳壺にサラリと投げ込んでみた 壺もそうだがススキも地味なだけに全体として真に質素なもので、人間の生のともし火が尽きるときは所詮、こんなものであろうし、色即是空、空即是色とは誠に至言であって、人生そのものも果たしてすべからくこうあるべきなのにそうもいかないんだな、などと不思議に納得がいった次第。(バックは熊笹の一群)

さてと、茶の湯のお話、そう、洞庭秋月亭における第三話といきましょう。
客組みが決まり、懐石料理の献立、それに盛る器が決まったところで、次は本席における濃茶、そして薄茶の点前道具の組合せだ。
これまた、神経を使う、って、この瞬間のために御客連は忙しいさ中、一日御呼ばれくって、懐石に舌鼓し、酒呑み々、饅頭食って二時間過ごしてきたのだ。
その期待に応えなければ茶人として古美術愛好家として、そしてなによりも数寄者の端くれものとして情けないことになること必定、そうさ、ここはひとつ踏ん張りどころで先にも述べたが度胸と機知、センスが絶対求められるところ。
まずは、三畳台目の本床には前回にも登場した鎌倉は円覚寺、かの大休正念から印可を受けた第二十二世、東邦通川(鎌倉後期)揮毫の墨蹟。
これを掛けると、三畳台目の雰囲気は一気に張り詰め、端坐し、黙するのみ。
これがきてしまうと対する濃茶茶碗は相応のもので受けなければならない、となると格としては柔らかく優しく包む熊川、または、作為的乍らも、したたかで得たいの知れない魔物が棲でいるが如き釘彫伊羅保、はたまた寂びものの最高峰、柿の蔕か、いずれも高麗茶碗であるが、ここは紀州は九鬼家伝来の柿の蔕ということに。
前後してしまうが、釜は越前霰釜、炉縁は鎌倉英勝寺の古材、水差しに備前矢筈口、受ける茶入は古瀬戸肩付、添える茶杓には遠州流の祖である大名茶人、そして庭園造りでも実績のある小堀遠州作か、全く対照的に千宗旦四天王の一人である学識、文才豊かな風流数寄者、藤村庸軒作。
もうひとつ候補に挙げたるは山田宗偏、藤村庸軒と同じくやはり宗旦四天王の一人であるこの人物、宗旦同様、終生において清貧を貫き通した数寄者というよりは茶人で、言わずと知れた鎌倉は茶道宗偏流の祖だ。
あれやこれやと考えた結果、ここはやはり数寄者連の集まりであり、主客が茶道遠州流と深い関係があるけれども遠州作を取り合わせることは正客を尊重することにはなるが、拙僧が本日の趣旨と心意気には、チと会わないな、ということで藤村庸軒に決定。
そして、薄茶の茶器は金蒔絵に青貝を配した吹雪棗、主茶碗には名古屋の数寄者であった織田徳兵衛旧蔵の瀬戸黒かと見紛うほど出来のよろしい織部黒、次茶碗に楽の名手、三代目道入、すなわちノンコウ赤を、三椀目は、ッという具合に着々と道具が決められていく。勿論、客組み、道具のバランス等を念頭においてだ。
以下に点前道具、、濃茶、薄茶道具を列記。
濃茶

  • 床  墨蹟 /鎌倉円覚寺第二十二世 東邦通川 /鎌倉時代
  • 釜  芦屋 環付 遠山 /桃山時代  
  • 炉縁 古材  /鎌倉英勝寺古材 梨本家旧蔵
  • 水差 備前矢筈口 /桃山時代
  • 茶入 古瀬戸肩付 袋 萌生地牡丹唐草紋古金襴 /室町時代   
  • 茶杓 藤村庸軒作 共筒 /江戸時代
  • 茶碗 柿の蔕 高麗茶碗 銘「張翰」 /李朝初期 九鬼家伝来   

薄茶

  • 花入 信楽蹲(うずくまる) / 伊勢半旧蔵 小林古径箱書 /室町時代
  • 花  椿 西王母
  • 薄器 吹雪 蒔絵に青貝 /江戸時代
  • 茶杓 藤村庸軒作 濃茶と同様 
  • 茶碗 織部黒 /桃山時代 織田徳兵衛旧蔵   
  • 同  道入(ノンコウ) 赤茶碗 /江戸時代
  • 菓器 青貝 寒山拾得図 /中国明時代 久原家旧蔵

     
道具が決まったところで、茶事の御案内手紙の草稿にかかる。ここは単純明快な文章の名手を自称する拙僧のこととて御任せあれ、ってところだ。
さて、茶事御案内の手紙も出し、準備万端、いよいよ、当日を迎えんとする拙僧なのであった。
つづく
いかがでしたか、茶の湯と数寄者の世界は。今後、当職の聖職である行政書士としてのキラリ日記を挟み乍ら思うが侭につづっていきたいとおもいますので楽しみにしていてください。

石山政義 法務・行政事務所
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茶の湯 遠州流http://www.enshuryu.com/enshuryu.htm

茶の湯 裏千家http://www.urasenke.or.jp/index2.html

茶の湯 表千家http://www.omotesenke.jp/

根津美術館http://www.nezu-muse.or.jp/

鎌倉円覚寺http://www.engakuji.or.jp/index.shtml

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