行政書士 石山政義こと碧雲山人の時空遊泳

俗塵を払って(6)
恐怖の山シーリズ 山登りは辛くも愉し、にキラリ(3)
本日は、いよいよゴールデンウイーク突入間近かってとこで、山登りの日記を一つ書かさせていただいて、怖さ愉しさ相関関係で思い出倍増かな
あれは、平成7年の五月はやはりゴールデンウイークの真っ只中、証券会社の中枢部に配属されてる山我呼三とパーティーを組んで北アルプス上高地から常念、大天井岳を経て表銀座、燕岳を詰める二泊三日の予定で入山。
天候は曇り、気温はまあ順当、常念岳に取っ掛かり始めて二時間ちょっと、チラチラと粉雪が舞いだして、いいねエーって、気分も体調も上々。さて、尾根から稜線に入り、いよいよ稜線縦走。五月は3000メートルクラスは冬山同然、装備の確認と靴には12本アイゼンをキリキリと締めて、山我呼三と間合いを計り乍ら拙僧が後詰。
40分程すると粉雪は大粒になり、穂高連峰のこのルートでは定石通り西北西の谷側からの風も次第に強くなりこの季節独特のやや湿っぽい雪がゴアテックスジャケットにポサポサッという音をたて耳に響きだし、まっ、それはいつものことだが、雪の舞い方になんとなくいやな予感が二人に漂い始めた。
やがて雪は本降りになり、風も本格的に暴れだし、案の定、吹雪きに変わりだした。先を行く3パーティーもなんとなくルートの確認をしながらの歩行にしては、やや遅いのは心理的には我々と同様だな、って、変に納得。ルートはだんだん細くなり左は岩稜、右側は急勾配の斜面のため、ピッケルを左、右と持ち替え乍ら、踏み込みにも注意をしなければならず、こうなると全くの厳しい冬山だ。10メートル先は黒い影がわずかに確認できるのみで、谷風はさらに強まり、ピッケルで三点確保する場面も常時になってきた。

三角点を確認する余裕もなく常念ピークを過ぎ、下りはなだらかに広い稜線、これからは大天井岳への登りの前座だが既に3メートル先は見えず、山我君の踏足跡も、雪で消される状態が続くなか鞍部から大天井岳に取り掛かろうとしたとき周りでゴロゴロときたもんだから再び、まずいな、と。着用している防寒具全体がビリビリしだし、髪の毛が立ってきだしたが、高所の雷雲は慣れてるものの、やっぱり気味が悪いよなア、と気を引き締めつつ着々と高さを詰めていくと10分ほどして、雷鳴と白青い不気味な長い稲妻が縦横無尽に、まるで大蛇の如く天地を覆した。こりゃヤバイ、山行どころではないゾ、先を行く山我君と声と手で合図して、非難開始、たしか、左のルート途中に一沢小屋か常念小屋がある筈だっ、と朧げに思うも、方角も分らず、エエーイ、ままヨ、それっと左急斜面を転げるようにピッケルをブレーキに、滑落するのを防ぎながら一気に100メートルほどエスケープした瞬間、いやに乾いた音響で、カッ、キューン、ビシャッ!っと一本の青白火柱が眼前の大天井頂上を突き刺した。瞬後に雷鳴がグレーの闇をつんざき、さながら地獄の絵図。

なんという光景だ、両耳には悲鳴のような大余響が残り、我々はショックで転ぶのを漸く止めるのが精一杯。落ちたな!恐ろしい場面に出くわしたア、って、本当にヤバイ!、南無三。我々は無我夢中でさらにさらに下ったが、なにも見えず、ビバーグを覚悟したが、瞬間、サッと吹雪が割れて下方の傾斜が見え、右、二時の方向100メートルに黒い影がみえた。小屋だ!オー、救われたぞ、山我も拙僧も雪を必死に掻き分け、転がり込むように入った。

瞬間、ゴーグルが温度差で曇り何もみえないが、向こうから、無事でしたかー、って声がかかったときは、生かしてもらったよ、フー、って発する間もなく、ヘナヘナになってしゃがみこんでしまった。あー恐ろしかったアって、ゴ−グルをはずし二人で顔を見遣りながら、ただ黙するのみであった。
小屋に入って一時間後、情報が。大天井岳北側からピークのとっかかり付近で男性一人が、ピッケルに雷が中り、亡くなったのである。ということはあの化け物みたいな青白い火柱が・・・・・・
なんということだ、惨い仕打ちをする、おもわず合掌。

於鎌倉拙宅奈良時代三穴古墳前之灯篭

でも、なぜ、ピッケルに。手に持っていれば少なくともそこには直撃しない筈だが。そうか、あのルートは傾斜が強くない筈だから、彼は、ピッケルをザックに背負ってストックで登っていたのだろうか。と新田次郎の小説ではないが推理してみたい衝動に駆られたものであったが、にしても空恐ろしい体験をしたものだ。

どうでしたか、これはノンフイクションですよ。五月の山は勿論ですが、山は愉しい、でも恐ろしく怖い、ってことの典型でした。
でネ、実は、その翌日に又々怖い体験をしたんですよ、今度は拙僧が。
これは次回に機会がありましたら、じっくりと語ってみたいですネ。
いかがでしたか、仕事ばかりやってては人生つまらないって、こんな体験もスリルがあるかな、ハハッ。したくないですよネエ。でも、こういう体験をする度に(あんまりいないとおもいますが)、まだ、おまえさんは生きて働けってことをどこかで言ってるんだなあと、自分なりに了解してるんです。
これからも行政書士として充実した日記をアップしていこうと思うと同時に、人間として日本人として文化を生きている一数寄者としても思うが侭につづっていきたいとおもいますので楽しみにしていてください。
石山政義 法務・行政事務所
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茶室(http://www13.ocn.ne.jp/~chakou/sub1.html
笠間日動美術館http://www.nichido-garo.co.jp/museum/exhibition_archive_0705.html
新田次郎http://www.city.suwa.nagano.jp/Contents/Contents.asp?CONTENTNO=327