数寄者石山政義の時空遊泳その99 後立山連峰にいってきた・・・・・けど

夏休みを利用して一年振りに山に入った
相も変らずの後立山連峰だったがこの地域は重厚な山がいくつも群を成している
辛苦を重ねて十数回この界隈を登攀している拙僧にとっては嬉しいことこの上なかったのだ
信濃大町駅を登山駅として扇沢から雪渓詰めて蓮華、針から種池山荘を経て鹿島へのルートと柏原新道から入った爺が岳鹿島槍へと続くルートが基本
更には両コースとも鹿島槍を過ぎてキレット五龍、唐松、白馬へと続く長大なルートがあり4泊5日もあれば朝日、そして蓮華温泉に、あるいは黒部側は祖母谷温泉に下りるもよし
そーいえば4年前だったか白馬大池から白馬山詰めて朝日、そして祖母谷温泉へ下ったことがあったが、あれはキツかったが温泉は抜群で秘境といっても過言ではなかったなア
まあ、どのルートをとっても帰りは必ずといってよいほど温泉が待っているという、これまた温泉通にはタマらないものがある
また、扇沢から黒部トンネルを抜けて剣、立山三山ルート、それと時間は掛かるが室道から薬師を越えて槍ヶ岳穂高へのこれまた超ロングルートがある
っと、こんな具合に信濃大町、そしてここ扇沢は魅力ある山々へ誘ってくれる重要な登山基地ではある
さて、拙僧は、ッてーと当日柏原新道に入ったのであるが流石に一年振りの山行はキツかったヨ
柏原新道から1時間は予定通り満更ではなかったが水平道を過ぎた辺りの種池山荘までの最後の40分は脚が、特に太腿がやや辛かった
それでも通常4時間30分のルート時間を3時間15分でやっつけたのは面目躍如だったかな・・・・
種池山荘からの右の稜線には爺が岳、そしてその延長線には独特の山容を誇る北、南鹿島槍の曲線が美しい(上の写真)
うーん、このルートは二年ぶりだな。
そーいえば、去年の今頃はY税理士とG会社社長の二人を連れて表銀座ルートで槍目指したものだったが生憎のタイフ〜ンで大天井小屋で2泊停滞、挙句の果ては猛嵐のなかの撤退という憂き目に合っていたな
二日とも夜は冷凍トンカツ、朝はこれまた冷凍アジフライときたもんサ
しかも撤退日の稜線上でY税理士の鳴物入りの登山靴底は外れるわ、拙僧の長年使用の雨具の継ぎ目は取れるというオチもあって、ったく散々だったヨ
まあ、それも山、といえば確かにそーなのだが・・・・・
長年やってると様々な事態に接するのは至極ア当たり前なのだが、3、4回の経験しかない二人が果たして、しかと受容してくれたか否かは闇の中・・・・だな
は、兎も角、周りの景観を再確認しつつ小屋で早速に呑んだ900円の生ビール、これが効いたア〜ヨ
さて、頃もヨシ、ってことで冷池山荘目掛けてザック背負って爺ルートへボツボツ歩いたまではよかった

この稜線の特徴であるがいつものとおり種池山荘を左に見遣りながら15分も歩くといきなり左側に剣山の全貌が眼に飛び込んでくる(種池山荘がなければ柏原新道を齷齪して詰めたその先には剣の堂々たる山容がモロに飛び込んでくるのに)
相変わらずのド迫力に暫し茫然自失で棒立ち
ヤッパり来てよかったナと充実感もひとしお
やおら稜線に向かって歩行を進めると10メートル先にザックを枕にして男女二人が寝そべっているではないか
いーねエー、こちらも呑んでることだしここはひとつ剣・立山三山を借景にして一眠りしようかなと・・・・
これがいけなかった
ウトウトしているうちに40分経ってしまったのだ カップルの連中もいない
ア〜、17時だア、まじいなコリャ!
陽はまだあるがここから冷池までは早足でもあと1時間30分は掛かる
でもなアー、アクセクしてもなんだし、それに鹿島槍も剣も寝そべりながらの贅沢な観覧をしたことだし、しかし世間には鹿島槍をと云った手前もあるしなア・・・・・
苦悶を繰り返した結果、ヨシ!種池戻って明日は早起きイー、爺が岳をピストン、ダア〜・・・・・という結論に
え〜い、罪悪感はこの際、ナッシング!
ってことで結論が出れば早い、いそいそと種池戻って北里博士を太らせた感じのおねえチャンに頼み込んで宿帳記入の9700円支払
ついでに禁断症状が出ないうちにキンキンに冷えた生ビールを買って展望の椅子へ座り込んで夕陽を浴びた蓮華、針からの稜線を満足げに見遣る拙僧
重たいガラスのビールジョッキ片手にグビギビやりながらの山容鑑賞はタマらない
先程のネエちゃんと雑談したところによるとここ1週間は雷雲は発生するが雨の恵みはないとか
道理でなんとなく山々がホコリっぽい、のは決して気のせいではないのだ
とかなんとかドデカンと椅子に座っての標高約2300メートルでのこの時間は至福極まりない
よし、今度は缶チューハイ頼んで、食事の時間には小屋の冷蔵庫上奥にあった地酒カップを呑むのだ
よかったよかった!こんなに幸せな時間を過ごせるなんてサ
あのまま冷池目掛けて行ってればまだ稜線上でヒイヒイは必定だぞイ
まあ、こんな山もありだナ、っと納得してして暮れかかる稜線に満面の微笑を浮かべる拙僧なのであった