魯山人][碧雲山人]行政書士 石山政義こと鎌倉碧雲山人の時空遊泳
俗塵を払って(5)
北大路魯山人の凄さ(その3)

於鎌倉拙宅裏山乃筍。今年の筍は太くなぜか伸びるのが早い。
先日は山行の御話をしましたが、本日は魯山人の話を。なんせ、彼の素晴らしさはいくら語っても尽き無いし、また、こちらで魯山人を批判しようが褒めようが「様になる」ってやつだから安心できるよなア―、なんか不思議な魯山人
でと、先日、所謂、さびものを扱う掘墓穴古美術に久しぶりにブラッと入り、雑談。買えもしないものを褒めていつもながら空しいなって、つくづく実感。しゃくに触るからそろそろ帰えろっと、腰を上げて出窓の小さなショーケースをチラリと見遣ると黄瀬戸らしき角向付が五つ並んでるじゃないですか。アレッ、なんだこりゃ、いいなア、四方面をきっぱり落としてヘラも無造作に縦横に入れ四隅の角も取って、筒でもなく高さも調度いい、雑そうに観えるが全体に神経が行き届き、だいいち気が利いてる。  魯山人だな・・・・、これは・・・・。ブツブツブツ・・・
どうしようか、やはり見せて貰うかな、と、その間約20秒。よし、っと、墓穴屋に背を向いたまま顔も見ずに、いきなり「墓穴御主人、これいくら」。後ろから「ヘッヘ、碧雲さん、御見通しですねエ、懐石にピタリとはまるこの手の山人は希少でねエッ、ケッケ」。相変わらずいやなやつだな、っと想いながら、「共箱?」「勿論」、「両方見せてくんない?」「勿論、イヒッ」。やおら、ガラスケースをガラガラ開け、一つ、二つ取り出していつもどおり畳の上に紺袱紗を丁寧に引き、ゴトッっと、いう音が心地いいぞ、こりゃ豊量だ、具合の良さがわかる。
畳付は無釉だが丁寧に削りを入れ、左下方に「魯」の小判長方印、黄瀬戸釉薬に濃淡があり、裾回りと見込内隅に釉変による海鼠が生じて釉薬の変化とともに見所があり飽きさせないナ。箱は所謂、ウブく「魯卿」印を墨押印。おそらくは昭和10年前後で京都から荒川豊蔵を北鎌倉星岡窯に呼んでいた頃の作品群の一品か。これは使えるな、掘墓穴屋がいうまでもなく魯山人としての特徴を十分備えていながら主張しすぎず、拙僧の懐石用具を想い浮かべ、取合せを頭のなかで一生懸命描く。
うーん、ここで合ったが百年目、放っちゃおけないな・・・。振り向きざま、もう一度「墓穴屋、いくらかな」。相手はウッヒヒと薄笑うも、眼光は鋭く抜け間はない輩だ。「キキッ、碧雲さんだからねえ、ハイイー、○○○円!」、間髪入れず「よし買った!」、「エッヘヘエーッ、ありがとうございますウー、これは買っておかなくちゃいけませんからネエ」、「ウン、ないものだからなア」っと。「デヘッ、で碧雲さん、中身全部確認してくださいまし、上の先客がいま帰ったんで抹茶でも一服、若い衆に点てさせるんで」って、調子のいいヤツだな、ったく。こんなモン飾るなよなア―、もうさア。また金、苦労するかなあー、愉しみも苦しみも幾千里、と、いつものデンで複雑な気持ちをズッシリと背負って掘墓穴美術屋の2階を上がっていったのであった。
さて、後日、お金も払い、モノを風呂敷で包んでもらい、いそいそと鎌倉の拙宅に。三畳台目で寝泊まりしている拙僧の茶室は暗いが道具を観るには格好の場所。おもむろに風呂敷を開き桐箱蓋の右上に力強いがどこか優しい染筆も清清しく、正に魯山人に対している感。黄瀬戸向付五個を綿包から出して一品々を再確認。やはり懐石にはもってこい、桃山、あるいは朝鮮、中国との取合せに引けをとらないし、しかも武張らず共鳴し合うものだ、と改めて魯山人の凄さに舌を巻いたのであった。
北大路魯山人は料理用向付として織部信楽、志野、備前、そして黄瀬戸を、土と釉薬を駆使しながら大中と作陶してるが茶室、加えて台目ってことを想定した場合、その懐石に見合った大きさと厚さを、と絞られるから意外に少ないってことを聞いていたがこれで納得。にしてもこの器を使って盛る料理は平目の昆布〆に人参を少し巻き切りして乗せ、その上に山葵をっとくるかな、こりゃ楽しみだなっと、拙僧も思わずニタアー。
唯我独尊を全うした偉大な近代芸術家、北大路魯山人の軌跡と作品を、彼が尊崇してやまなかった桃山時代の黄瀬戸、織部などと比較し乍ら何回かに分けて綴ってみたいと存じます。
石山政義 法務・行政事務所
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北大路魯山人http://www.tougei.museum.ibk.ed.jp/tenranan/taro/index.html

濱田庄司http://www.mingeikan.or.jp/html/hamada-shouji.html

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