数寄者石山政義の時空遊泳　その７６

謹んで新年のご挨拶を申し上げたく存じます
さて、ここに撮り出だしたるものは毎度御馴染みの当碧雲山房内における２０１３年１月１日の碧水舎道場
此度の飾付け、正面に一行軸「神光照天地」（大徳寺４１８世　宙宝宗宇　書）の一幅を拝した
以前にも拝謁していただいた折に説明したやも知れませんが、達磨大師が山中にて面壁結跏趺坐の最中のことでした
慧可という修行禅僧が達磨大師に入門を試みるも如何とも許しません
彼はとうとう思い余って自らの片腕を切り落とし、達磨に差し出すのです。
流石の達磨もこの不断の意思と覚悟に感嘆し、根負けして弟子になることを許すのです
この場面は室町時代の画僧、雪舟が「慧可断臂図」として描いた有名な水墨画あり、国宝に指定されてご存知の方も多い筈
慧可は一番弟子としてその名に恥じない修行を重ね、ついに達磨から法灯を継ぎます
この慧可、幼名を「神光」といい、それは霊妙な心の働きの謂いで、万物が本来具有底の大光明の事であり、誠に真実を表した名前ではないでしょうか
碧巌録の一節に「泥佛不渡水。神光照天地。立雪如未休。何人不雕偽。」（泥仏水を渡らず。神光天地を照らす。雪に立って未だ休せずんば、何人か雕偽せざらん。）とあります
今年もまだ始まったばかりでもあるし、ひとつ、この五言絶句を頭に叩き込んで、皆様次第の1年を過ごそうではありませんか
ついでにその御軸前に御供えしたるは、鎌倉長島屋謹製のどっしりと落ち着いた３号の旨そうな御餅
この店の餅、通常の造形とはチと違い、高さを求めるのではなく横に低く拡がっていくという独特のモノ
その尊い餅をありがたくもかしこくも受けたる器は李朝雨漏八寸鉢。李朝堅手特有の乳白色に柔らかい薄霞を彷彿とさせるというなかなの逸品　
それらに添えたる古信楽壺には庭にある蝋梅と、先般の台風で倒れ掛かっていながらしっかり生きてる老梅を枝元からバッサリ落として活け込んでみた
う〜ん、花が蕾だから全体地味過ぎるかも、やっぱキラリとしたものが欲しかったかなア、金とか銀とかさア、軸に併せて天を表すものが・・・・・
まあ、６日に当道場で執り行なわれる無双直伝英信流山内派のささやかな初抜き居合演武までには蕾も開くことであろうから、愉しみにしてよ、っと
なんか硬いこと言ったかなア〜、ま、いいや、今年は巳でもあるし、慧可様にあやかって執着心を持つということでシャンシャンシャン！
本年もよろしくおねがいもうしあげます

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