数寄者 石山政義の時空遊泳 その134 猛暑に偶さかウナギ蒲焼

7月、8月は大変な猛暑で拙僧が仕事の生業中心地、東京では連日36度を越す
で、こういうときに欠かせない料理の一つが「う・な・ぎ」

しかし、世間ではうなぎ不足とやらで青息吐息らしい
そうは云っても関西、関東を中心にこの時期、白焼き、蒲焼と、それぞれが必須モノであることは確か
ここ、鎌倉でも由比ガ浜には昔から有名な店、「つるや」がある
勿論、蒲焼で、歯触りホクホク、タレは甘くもなく絶妙、ご飯はどちらかというと柔らかめかナ
居合の帰りとか、友人連が来訪した折にはよく行く店だ
東京は?というと、拙僧の事務所がある阿佐ヶ谷にも「あずまや」があるが、あまり食べ付けない
偶さか先日、拙僧がクライアント様の御馳走ってことで阿佐ヶ谷汲んだりされ、久し振りに便乗できた
上ウナギ、確かに肉厚でウナギも大きく、それが重箱にミッチリと張り付いて隙間もない
しかも、下の御飯が全く見えないのは凄いことなのだ
タレは少し濃く、どちらかというと甘いかな
中央沿線ではそれなりに、ではないか
ところで最近、日本橋のクライアントから2件のうなぎやを紹介していただいた
そのうちのひとつが八重洲桜通り裏にある「はし本」
友人と日時を設定し、すぐ横にある、たこ焼き夕方セット980円を喰らってまずは地ならし
刻限どおりの7時30分

お互いウナギ食べれるという欲望と期待でニヤニヤし乍ら玄関ガラリ開けてビックリ
御給仕がいきなり四人出てきて「いらっしゃいませエ〜」だって
御二階へどーぞ、ってことでミシミシ階段上がってみれば、これまた老若四人程の御給仕が案内に
掘り炬燵に案内され、落ち着いたところでまずはビール
そして、きも焼、くりから焼(写真左)、ひれ焼を
冷酒呑み始めの続いて九条葱ぬた、川海老(写真右)、豆腐、焼き鳥を2本
さてと、いよいよウナギの出番だ
お重もイ・ロがあって、イは通常の大きさと厚さ、ロは肉厚で大きめだとサ
値段は1500円程違うかな
もち、イを頼んで35分間待ち呑みしたもんだ
やがて、しわがれ御給仕さんが出てきて「ハイ、御待ちイ〜」
肝吸いとともに、ゴトッとテーブルに重々しく置き合わせる
給仕曰く「ほし本のウナギで御座います、ごゆっくり・・・・・」
我等、お互い顔を見合わせておもむろに蓋を開けてみれば
蒲焼独特のにほいとともに目に飛び込んできた二枚に捌かれたウナギ
整然と横たわり、艶やかで一部黄金色に焼かれちまって、なんとも美味そうなの御姿ではないか
早速食べてみれば、う〜ん、ヌルッでなくホクッでもない
ウナギ独特の油も肉のホクホクさも程々で拙僧にとっては至適
甘くもなく、しょっぱくもなく中庸を得ている
どっちかってエーと、サッパリかな
あれだけの肴を食しているにも関らず、うな重全部イケたってのは凄い
連れは初めはうな丼と可愛いこと云ってて結局、うな重
肝吸いズーズー、ウナギホゲホゲ(茨城県方言らしい)と食らってスゲエ御満喫の様子
加えて高麗青磁だの黄瀬戸平杯が出てくれば
そりゃアもう、極楽浄土の世界だゼ
いやはや、ここ日本橋「はし本」2階の掘り炬燵の小宇宙
まさに時空遊泳の真っ只中なのである