数寄者 石山政義の時空遊泳 その135 夢か現か 結城紬

夏もピークを過ぎ、ここ鎌倉では朝夕、すず虫が鳴きだした

さてと、此処に出でたる写真一枚御覧あれ
某料亭でのワンショット
その道のプロフェッショナルならばお解かりの筈
青胆礬(タンパン)も鮮烈な桃山時代の黄瀬戸平杯ひとつ
その杯にひそやかにそっと忍び寄る女人の手
なまめましくも、ろうたけたその白い手が妖しい
は、おいといて・・・・・
ここは一つその女性の手の袖から見える着物に着目
そう、着物の紬地では他の追随を許さない結城紬
蚕からとった上質な真綿を縦横に紬いでいく手作業は奈良時代から変わっていない
これが結城独特の細かい織りと独特の色艶を醸し出していく
草木で染まったその品の良い薄ピンク色が周りのすべてをさらに染めていく
なんとも優雅で心地の良いひとときであった