数寄者 石山政義の時空遊泳 その136 台風渦中に一杯

今年の夏は激暑で、やっとこ秋の気配が、っとおもった矢先の台風24号
で、沖縄、九州で吹荒れてるのを横目に、まずは一杯

これが結構、スリルあって酒が勧んで盛り上がってくると
ついつい、季節と環境に見合ったそれなりの道具を取り出だしてネ
今宵今夜、一献傾けるのです
さて、此度の酒器は御覧のとおりです
まずは、向付は鼠志野、典型的なシロモノですが、ないものです
徳利、これは織部松皮菱筒向付の見立て
おそらくは発掘モノです
同じ桃山時代の破片をいくつか組み合わせて再現してます
所謂、呼び継ぎですが、胴から下は全部残ってるのが嬉しいではないか
この松皮菱向付、滅多矢鱈にない!
デザイン斬新、ダイナミック、力強さと、三拍子揃ってると
さぞかし見つけた数寄モノは狂喜乱舞したことでしょうて
迎えた酒盃は金襴手、そう、中国は大明成化年製
この時代独特の色、即ち少しく黒ずんだ赤ですネ
近代の洋画家巨匠であった梅原龍三郎が頗る好んだ色でした
中国の万暦年製期でもこの色を踏襲していますね
惜しむらくは金箔がだいぶ薄れてます
金箔は製法的にはとても難しいもの
北大路魯山人もそれを試みました
金沢、京都辺りの陶工を呼んでは失敗を繰り返しつつも見事に成功してます
彼の代表作、青金襴手向付は有名ですね
まずは成形、釉薬掛け、窯入れ、高温で焼きます
窯出し後に金箔を張り付けます
そして再度、弱火で焼き付けするのです
その為、使用上、どうしても金が剥がれやすいといわれています
で、この金襴杯、口辺と高台裾周りにその名残があってサ
貧乏数寄モノからすれば、それは貴重なものなのです
にしても、みんな侘びてますねエ
時代的には16世紀から17世紀初め
こんな日にはもってこいのシロモノでした
鼠志野の中身は、って?
拙僧の大好物、トマトとインゲン
本当はヒラメ昆布〆めにイクラを、とおもったのですが
無い袖は触れないってやつです、ハハ・・・・・
それではまた