数寄モノ語り その160 時節柄、目は口ほどの100倍モノを云う

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江戸期の春日灯篭脇の石垣に咲くいわたばこの小群


いま、鎌倉の山中、特に日のあたらない岩、石垣の影では

「いわたばこ」が薄むらさきの小さな花を咲かせている

うつつよの喧しさを避けるように

いつもの季節にいつものところで・・・・・

さて、去年暮れから世間を、というよりは世界を揺るがせている禍

人々は右往左往しているがいまだにあとをひいている

早く収まってほしいものだ

ところでこの時期、小生は仕事柄、相も変わらず東奔西走の繰り返し

一日、3人から5人のクライアント間との打合せはあたりまえ

対面、開口一番は間違いなくそのハナシ

お互いの無事を確認し、やがて本題に入っていくのが常

打合せは当然にマスクは必須

これが昨今はやたらとデカい

したがって顔全体はマスクで覆われ、かもすると違う相手と喋ってる錯覚になる

そして、誰でもそうだとおもうが

相手の耳(耳の形、動き等)

口(喋りまくる、形、動き)、

鼻(鼻穴の動き鼻息)

目(動き、色)

頭髪(髪型、毛の程度等)から構成されてる顔全体を

そして身振り手振りを確認しながら話すものだ

しかしなんといっても目は口、いや全身を遥かに超えてモノをいう

それが相手の全てを読み取る唯一の手段

いかに弁論が上手く、華麗な身なり、宝飾で包まれてもだ

目の奥にある真実を悟られるのを嫌うほどそれが常套手段になる

愚かな人間はその術中に嵌まってしまうから難しいところ

しかし、いまやそれができない

そりゃそうだ、顔中はマスクだらけ

口、鼻がみえなければ目の動きに集中せざるを得ないのは当然の帰結

真実を見通せる相手ならば、もう逃げようがないのだ

手八丁、口八丁ってなことわざはマスクがないときのハナシ

誠に以って、目は口ほどの100倍モノをいう 

みなさまもこのこと、肝に銘じて下されい