数寄モノ語り その183 淡路町のあんこう鍋

          たっぷりとイケる古唐津のぐい飲み

冬とくれば鮟鱇鍋

そう、丸ノ内線淡路町駅から7分程度のところにある

その名も「伊勢源」

例年の今頃は必ず通うことにしている

早速、12月16日、いそいそと暖簾くぐると

いつもの伝で下足番大将がにこやかに迎えてくれる

二階へは「お二人様アですエウ~、どうぞオ、お二階エ~」

靴を預けて二階階段を昇れば鮟鱇鍋の美味そうな匂いが

にぎやかな雰囲気とともに全身に伝わってくるではないか

そして、例のチョット厚化粧女将案内に任せて隅にどっかと座り込んだものだ

さて、ここでは決してコースは頼まないのが拙僧の流儀

肴は鮟鱇肝、煮凝り、から揚げは二人前

あんこう通の王道だ、などと勝手に自認する次第

最初はビールにから揚げ

終わって、次は、っとくれば日本酒の熱燗

2本呑んだ頃には肝と煮凝りも平らげる

徐にあんこう鍋を注文して、熱燗をもう一本

御女中に火付けてもらってしばらくすれば

鍋はグツグツ音を鳴らせばもうOK

なかでもあんこう皮、内蔵が美味いのなんったらありゃアしないのだ

これをつつきながら残った汁にご飯を入れれば

これまた、たまらないおじやが待ってる

そして傍らには拙僧愛玩の古唐津ぐい飲みがデンと構え

お酒も料理も一段と旨いのだ

一杯一杯、また一杯、我、酔うて眠らんと欲す、ってのは李白の詩だった

さてもさても、12月の師走目前の今宵、今夜

愉しい時間は淡路町数寄モノ界隈をゆるりと過ぎていくのだった