行政書士石山政義による法務にキラリ その25

行政書士による外国人就労ビザにキラリ。
先般は、就労ビザに関して成功談を御話しましたが、本日は、留学ビザから就労ビザへの変更申請への最初の申請は当職取次ぎで許可、二年目の更新申請は本人が直接申請したのはいいのですが、却下された御話しを一つ。そして入国管理局を甘くみてはいけないってことを肝に銘じて下さると本望です。
では、いきます、関東では10本指に入る洋菓子製造販売会社での出来事でした。
お隣の国生まれの「超甘過(チョー・カンカ)」さんは母国の四年生大学で栄養学科を卒業し、現地の洋菓子店に一年、その後、食品輸出入兼製造販売店に3年半勤めましたが日本の洋菓子に対する真剣な眼差しと西洋にない独自の細やかさに憧れ、日本留学に来ました。そして和菓子と洋菓子専門学校に入学と同時に日本語学校にも通い、朝昼は学校、入管から許されたバイト時間は神奈川県にあるキラ星株式会社で洋菓子の企画と製造を研究して早や3年が経ちました。
さて、超甘過さん、いよいよ日本でいうところの社会人になって働きたいとうのは人情、当職の得意先を通してキラ星株式会社の社長である甘栗蒸宇酢氏から当職に依頼があり、人柄もよく常に新しい視点からケーキ類のデザインを考えてくれそうだし、超さんの母国との間でも商取引が出来ればという思惑もあり彼を採用したいと。
で、傍らからケーキ五つ手土産。酒も好きだが、ケーキも好きな当職としては、ヨシ、ってなもんで、五つならぬ一つ返事で受託。いくつかある就労ビザのうち、超さんの学歴と職歴等を鑑み、とりあえず「技能」の在留資格変更に絞込み、早速、超さんとキラ星株式会社に必要書類を提示。
超出過さんは母国から卒業証明、在職証明等、日本からは通った学校からの卒業見込証明等を、キラ星株式会社さんは決算書、納税証明、会社概要、雇用契約書、採用内定通知等を揃え、それらを全てチェックしたあとに超甘過さんは上申書を、キラ星株式会社さんは理由書を矛盾のない説得力ある文章として作成してもらい、当職が申請取次行政書士として東京入国管理局に申請。
一ヶ月後、晴れて一年の在留資格変更による「技能」による就労ビザが発給。目出度し目出度しでした。そして将来は母国と日本国の橋渡し役も兼ねて更なる就労資格「投資・経営」在留資格に変更して差し上げられればいいなって考えながら、まずは乾杯!
さて、何事もなく一年経ちまして、さぞかし超さんもキラ星株式会社さんもお互い切磋琢磨し、向上したことでしょう。そろそろ超甘過さんのビザ資格の期限が迫ってきましたので如何されるかと連絡したところが、超さんは就労ビザ期限が気になって自分で申請してしまった、って。えー!それで?っと問えば、鎮痛な声で「却下でした」。アレー、なんでその前に当職に相談してくれなかったんですかアー、といっても、あとの祭り。
拒否通知がきたばかりというので、その拒否理由を確認し、急ぎ、入国管理局の担当官に面談の申込。拒否理由は超さんが関わっている菓子類の企画、製造部門においては彼の技能を活用しているとは思われないこと、且つ、日本で学び重ねてもその経験が母国に帰っても活きないのでは、の二点でした。ウーン。
実は、超甘過さんが単独で在留資格更新を申請して3週間後に、入国管理局から現地調査があったというのです。ってことはそれに対して余程強い疑念があってのことでしょうか。否、普通であれば、様子見ってことで最低一年はビザの更新をしてくれるのが通例です。しかも都内では何店舗も御菓子店を持つ有名なキラ星株式会社ですから少なくとも採用会社には問題はないと考えます。
となると、超甘過さんの出した裏付資料に原因があると考えられます。先にも述べましたが通常は雇用条件にしたがった待遇とそれを裏付ける給料源泉徴収票、課税証明等があれば余程のことがない限り拒否されることはなく、況や入国管理調査官による現地調査もないと考えるのが普通です。
本人曰く、自分はケーキ作りに関して斬新なデザインと作品化をしてきたし、これからもキラ星株式会社と共にケーキ作りをしていきたいという趣旨を日常言っていましたがこの言葉をそのまま入管関係者に言っていたようですが、確かに素直な回答です。
しかし、ここで問題なのは「技能」という就労資格の定義を履き違えていないか?とういことなのです。最初のビザ取得時における本人の上申書と会社側の理由書においては、それぞれの立場で各々が培ってきたノウハウを活かし、特に、超さんの国での伝統的な菓子類は日本にはなく、同じ米食で味覚も近似しているなかで大いに彼の知識と能力を活かすことが期待でき、マンネリ化しつつある菓子類に一石を投じる同時にそれらの成果を共有することが出来るという趣旨で論述しました。しかし二年目になり、国側からすれば、キラ星株式会社の菓子類が、彼の国、あるいは彼の持ってるノウハウがなければ創れないのか、菓子、特にケーキ類に関しては、一般的な学校に行けば誰でも作れるという厳しいが当然の見方をします。しかも、当人に問えば職人として一緒に菓子を作るということだけを主張していては心証も不利になるばかりで入管に対する先入観を拭い去ることはできません。
そんなやりとりが現地であっての結果はむしろ当然かもしれません。当日、会社側ももう少し援護射撃をする、あるいは本人も機転を利かし、臨機応変にということのアドバイスと当職も現地立会いができたら反論出来たかもしれません、と考えると残念でなりませんでした。
あるいは上申書で申請書と一緒に切実に訴えていれば許可の可能性があったかもしれません。しかし、一度拒否決定した事案は余程のことがない限り覆すことは難しいのも入管法です。それでも当職と共に面談を申し込む時に、超甘過さんは自分でデザインして作ったケーキと菓子類を箱に詰めて持参しましたが、入国管理担当官は一瞥しただけで、今回申請した超さんの申請書類と現地調査結果の矛盾を並べ、拒否結論に至った経緯を言うのみで反論の余地のないものでした。
 帰り道々、超甘過さんは、自分のしたことを随分悔やんでいました。異議申し立てをすることもできますが、自ら、技能ではないということの資料と言動をしたわけですから、無理があります。
 ただ、考え方を百八十度切り替えて、超さんが日本国で、会社を立上げて過去の経歴をとノウハウを生かし事業展開するということは可能ですから、「投資・経営」の在留資格でいってみましょうか?っとアドバイスをしましたが、もはや、戦意喪失の真っ只中ですから、首を横に振るばかり。結局、この試みをしないで超甘過氏は在留を諦めた、というより自分のポリシーと価値観、それを実現する手段として日本に来日し、日夜、切磋琢磨したことでしょうが、4年在日したものの、ケーキ、菓子類を作ることに矛盾と限界を感じたのかもしれません。
もし、ここで、超さんが、アドバイスにしたがって就労ビザ「投資・経営」でもって在留資格変更の申請をしていたら、当職の経験では、就労ビザ取得はOKだったと確信しています。
ただ、ここでも、日本国内で「投資・経営」就労ビザを取得して事業展開するのは[何故?]即ち、意義と目的、そしてその価値を常に念頭に置いて活動しなければなりません。
次回に就労ビザ関係のブログを書くときは、この「投資・経営」について実際の体験をもとに書いてみたいと存じます。
当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
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