行政書士石山政義による法務にキラリ その36

行政書士による外国人就労ビザにキラリその5
8月も半ば過ぎ、ここ二日、拙宅での毎日早朝4時半過ぎからのちょっと早い目覚し代わりのひぐらしの喧しさが弱くなり、逆に夜中の鈴虫の鳴く音色が日増しに大きくなったことだし、これは、暑さも漸く峠を越したかなと勝手に思い込んで庭のデッキにテーブルと椅子を並べて蚊取り線香の煙散らせながら本日も一杯呑まさせていただいてと、ブログを調子よく滑らせていきましょうかねエ。

於鎌倉拙宅 三畳台目で寛ぐ。左に李朝堅手小徳利、右にやや大きいが枡杯として愛用の桃山絵志野 鉄絵の垣根、芒が志野釉から薄く濃く見え隠れして茫寂このうえない。
さて、本日は当職が最近扱った外国人の就労ビザ取得に関して気付いたことですが、入国管理局の対応と案件処理にスピードが出てきたってことで、事例を述べて語ってみたいと存じます。
これは、外国人にとってはものすごく良いことだと職業柄、実感する次第、ではいきます。
当職のホームページを見たということで、居酒屋を数件経営してるが、そこにバイトできているN国の男性が真面目なので是非、社員としてうちに採用したい、との相談。フットワークが良く、腰の軽い当職としてはその日の夕方5時に御伺いするってことで決定。流石に依頼人は電話のむこうでビックリしていたようですが・・・・。
で、早速、東京は呼込区根無し町8丁目を本店とする快楽物産株式会社社長、桃栗千年氏と面談。
ヤル気満々の30代、牛肉料理がメインというこの居酒屋の名前は「ヨッテ、ウッシッシー」だってサ。どういう意味ですかって聞いたら、彼は「ウッシッシ、あのね、「よって」は、酔って、夜って、寄って、とかけてるわけ。あとは先生〜、おわかりでしょ、ウッシッシイー」。あッ、なるほどネエ〜、面白いなア、おもわず「これなら、ニターッて、ヨダレ垂らして入りたいですねエ」っと言ったら桃栗社長はご機嫌に「イヒッ、今度はね、豚シャブ専門居酒屋でねえ、名前も「しゅっせでトントン」ってのを打ち出そうと・・ブヒブヒ!」、「・・・・・」へ〜え、出世と出精値引をかけてるんだろなあ、よく考えるよなあ〜、っと思ったものだが、にしても、まあ、彼ならこの根無し町だけでなく支店をいくつも出店できるだろなって踏んだもんだ。
雑談を交わしながら社長曰く「本日は、ネットでいきなり御願いしてすいませんでした、まさか、こんなに早く来ていただけるとは考えていなかったですが、そのほうが有難かったです、本日は本人も同席しますが、二人とも何を準備したらよいのか、またビザに関する要点が摑めなく困っていたところです」物腰が柔らかく、低姿勢のところが好ましい、この社長は伸びるなあ。
紹介されて桃栗社長の横でペコリと挨拶した本人の名前は、「メザ・トイスネ」、26歳のなかなかの人物で、したたかさもありそうだ。将来、彼を店長として任せたいっていうのも頷ける。
彼の現状はこうだ、2002年に日本語留学生として来日、一年後にY県にある無駄骨大学経済学部を今年3月に卒業し、東京に上京、そして今年2月からこの店でバイトしているということだ。それはそれで在留資格取得にとってはいい材料なのだが、なんと在留資格有効期限があと25日しかないのだ。
就職活動していたとはいえ、随分のんびりしてたもんだな。この事実を社長は不知だったらしく、社長曰く「私の会社は見てのとおり居酒屋です、出来ることは先生の言う通り、なんでもしますから、こちらのメザ君をなんとか採用したいんです、御願いします。」
当職は「それはいいのですが、すいませんがメザさんのビザ期限は今月25日まですよ、なんせ時間もあまりありません、恐ろしくスピーディーに処理すれば入管に申請は出来ますが、快楽物産としてはなんの為に彼を招聘するのですか?彼の来歴等を読んでも現状で活けそうな在留資格は「人文・国際知識」を利用した御社への就職しかないようですが・・・」瞳が大きい桃栗社長は、当職のやや細い眼を覗き込むように「すいませんが、そのオ〜、ジンバブコクって、なんですかアー?」、だと。
おもわず、ハア〜?っと、開いた口を直ぐ塞いで、当職は入国管理法と在留資格就労ビザの種類を持ち前の早口でパッパパッと説明したもんさ。社長はその間、目をパチパチして当職の機関銃のような説明を半分も聞いていただろうかなあっと考えながら一呼吸おいて、こう言ったものだ「おわかりですか、社長、したがって、彼を御社に就職させるには先程、提言したジンバブ、でなくって、人文・国際知識でヤルしかないのです」。「えー、ハア〜、でも、どうやって?国際性ってことでは確かに「ヨッテ、ウッシッシー」の食材は新鮮さと値段のリーズナブルをモットーとしてるんで、時々、中国、韓国から輸入はしていますがねー」、続けて「正直言って、うちのメザ・トイスネ君は日本語一級で、二カ国語いけますから重宝で、しかも人間管理と、人事のまとめかたが上手いんです、うちの従業員は結構、国際色豊かでしょ、彼が居てくれて助かってるんですよ。将来は店舗増設で、店長抜擢を視野に入れてるんですよネ」っと横にいるメザ・トイスネ氏をチラリと見やった。
しっかり聞いてたメザ氏は流石に目聡く「社長、私は卒業証明その他原本関係たぶん家にあります、ビザに関しては大学の学務課にいけば就職活動ってことで一ヶ月延長願いできますから、行ってきましょうか、先生それでオーケですよね」「メザ・トイスネさん、用意周到で結構です。ですが御二人共、要は、なんでいちいち外国人を採用しなければならんのかを考えて下さい、その理由がわかれば、当職としては大急ぎで書類作成、上申書、理由書をたたき出し、入国管理局に申請、承認できる自信があります、勿論、御社とメザトイ氏に御願いする書類セットが前提ですが。」うー、とか、むウ〜、とか悩んでるばかりで答えはすぐそこにあるのになアっと思いながら、もう、じれったいとばかりにこう言った「桃栗社長としては、現に材料を国内外から仕入れているのですから更なる輸入をしたいというのなら現地で大いに彼に活躍してもらえばいいじゃないですか、店舗増設を視野に入れているのでしたら、海外出店してフランチャイズチェーンとして開拓していき、彼にその先鋒を担ってもらえるでしょう」
聞いていた桃栗社長はおもわず手を打ち、目を光らしてこう言ったものだ「そうだ、より安く、質の良い食材はやはり現地に行くに如くはない、それとある程度多く輸入して国内の同業者に売るってのもOKですよね、彼は目が利くし、う〜ん!」いいぞ、そうこなくちゃなア、で、こう畳み掛けた「そーです、よくおわかりで。快楽物産として食材輸出入業と、店舗の海外展開は智慧と勇気と金の三つを要しますが桃栗社長なら可能だし、横におられるメザ氏さんが動くでしょうからいいんじゃないですか」社長はしばらく黙していましたが、決断したようだ「先生、それでいきましょう、御願いします!よし、メザ・トイスネ君!それでいいですネ」、「ハイ、社長、俺、嬉しいです。頑張ります」
よし、これで決定だな、当職は頭グルグル回して、便箋に二人が揃える必要書類を手際よく相変わらず半分読めない拙い字でサッサッと書いて手渡しな乍ら、こう言った「ちょっと読みづらいかもしれませんが、あとで口頭補足します。これらの書類を今週末に揃えてください、本日から4日後の来週月曜には入国管理局に提出しますからよろしく御願いします」、と、今度は精一杯ゆっくり説明して、足早に帰ったものだ。
事務所に戻って、当職の抱えている山積み依頼案件の順番を一つだけ変えさせてもらって、早速、快楽物産側の上申書から作成。この場合、会社の目標と、メザ・トイスネ氏を採用したい理由は合致するので辻褄を合わせるのは難しいことではなく、現状と抱負、そして彼を含めてのビジョンを明るく明確にメリハリを利かして述べていけばよい。
一方、申請人であるメザ氏の理由書の根幹部分は本日のやりとりとメモを貰っているので十分だし、帰りの電車ん中で既に構想を練っていたから先に作成した上申書と矛盾がないように、特にメザ氏が快楽物産株式会社を選択した理由と彼の希望を叶えてくれる部分をキッチリと押さえ、それらを実現できる自分自身の能力の根拠を説得力をもって述べていけばよいのだ。特に彼は日本の無駄骨大学経済学部四年制昼間部を卒業しているから名前は兎も角も、心強く、入管にはインパクトがある筈だ。
さて、週末になり、御願いした書類の確認と最後の打合せを綿密にやって上申書、理由書にサインを貰い、二日後の月曜日に、朝っぱらの8時半、品川の入国管理局に行ったものだ。
書類はほぼ完璧で補正もなくメザ・トイスネ氏のパスポートに就労審査の印が押され、第一関門はクリアってところだ。これで本人は結果が出るまで在留期限が過ぎても合法的に日本に在留出来るってわけだ。よしんば、不許可となったとしても、出国準備として最低一ヶ月の猶予は与えられ、その間、他の就職先を探して再チャレンジが出来る。
でと、当職としての算段では、就労ビザは許可されるだろうが、結果は3から4週間後、在留許可期間は3年を申請したが、最初ということで1年かな、と考え、期待と不安を抱え乍ら頭の隅において矢継ぎ早にくる案件を淡々と裁いていたものだ。
ところが、二週間経ったか経たないうちに当事務所のポストに、あの独特の東京入国管理局からの小ざっぱりした味も素っ気もないハガキが来てるのにはビックリ。パッ、と裏面を見るとニンマリッ、やったアー!許可通知だぞ、そして翌日、いそいそと入管に行って、当職が提示した本人のパスポートに貼られた在留期間は申請希望通りの3年の在留期間、ってのがモノスゴイのだ。
こういうのは何回受け取っても嬉しいな、快楽物産社長の御目々パッチリ桃栗千年社長と馬の目を射抜くメザ・トイスネ氏の嬉しい顔が浮かび、良かった良かったと一人感慨に浸ったのであった。
しかし、今回、実感したことはなんといっても、審査結果の早さと、前回の申請の時にも思ったのだが、自国の大学も然ること乍ら、日本の四年制大学を卒業した場合の、その許可の確立の高さだ。要は本人の学識・実務経験と、取得しようとする就労資格に一貫性があり、狙い所をバッチリ押さえておくことが肝要。
にしても、愉しいな、早速に当職はそれぞれに電話し、朗報を知らせた。二人共大喜び、特にメザ・トイスネ氏にとっては至福の一瞬であったことだろう。彼にとっては最初から3年の就労ビザということは何よりの宝となるのだ。いやア、メザ・トイスネ氏の、大学卒業は無駄骨ではなかったのだ、本当に目出度し々でウッシッシ!
如何でしたか、当事務所におきましては、日本中にある許認可申請と事実証明書類作成、また公証人さんの御役目と消費者との歯車的存在である、街の法律家である行政書士が如何に関わっていくかを、他の日記を挟み乍ら、述べていきたいと存じますので御期待ください。
石山政義 法務・行政事務所
所長 石山政義 
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