行政書士石山政義による風俗営業法にキラリ　その５７

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居合　神奈川県鎌倉市は当山鎌倉碧水舎道場て塾生養成(http://ishiyama-office.com/iai)
そろそろ桜が咲く頃になったことだし、ここ最近は時空遊泳ばかりしておった、ということで、今般は久しぶりに行政書士本来の仕事を一つ、すなわち、風俗営業（風営法）に絡む案件で今宵はひとつ花を咲かさせてみたいと存じます。

鎌倉市は於当山鎌倉碧雲山房　当山房山門を潜りしばらくすると右側土手からおおいかぶさる様な枝垂れ桜がある。
ここ数日寒さが後戻りしたんで、まだ四部咲きといったところだが、背景の広葉樹は寒さなどなにするものかあらんと云わんばかりに日毎に新緑がひろがっていきこころが和んでいく。
ではいきましょう。
東京杉並区は高円寺駅前の、とある雑居ビル７階での会話からはじまったのだった
いつものとおり慌しくデッけえカバン抱えて走り回ってる当職の携帯が鳴った。この日は生憎と雨ときたもんだからケーキやの前で雨宿りして、受話器に出てみれば、出た！久しぶりのドスの利いた独特の言い回し。
アッ、こりゃ知る人ぞ知る、高円寺の貸金業者「株式会社不容赦グループ」の会長、金比羅多重魔（コンピラタエマ）氏の声。
彼はかって当職の手によって貸金業免許を取得、その強引な貸付手法と取り立ての厳しさから、取り立て成就のコンピラさんと言われ、杉並、中野、練馬界隈では名が通った人物。
ここンところ２年は会っていないが、何だろうと探りを入れてみる「いやア、会長、珍しいですね、どうッスか金融業のほうは、会長んところは取立て率１００パアーだから、もう貯まる一方でしょう、ハハ・・・・・、で、きょうはなにか？」っと軽く挨拶。
すると、会長はゆっくりとした口調で「オウ、先生元気かい、その喋りだと、また、相変わらず東西南北奔走し回ってんだネ、ったく忙しい先生だア〜、フフッ。で、いま、ちょっといいのかなア・・・ベロリ」と、彼独特の、獲物を前にして、その頭あたりでもゆっくりと舐めてるような言いだ。
ったく、いつもながら、ヤな雰囲気の会長だ、っと想いながらも当職は持ち前の明るさと早口でこう応える「どゾ、今度は不動産屋でも、おっぱじめるんですか、はたまた社会福祉法人でもつくって老人だの医者だのを募りますか、おっしゃってください、なんでもお応えしますよオ」っと。
金比羅会長は「ハッハ、相変わらず粋がいいんだア、先生は。そんなんじゃないんだけどサ、まあ、電話じゃなんだから、一度来てくれないかい、久しぶりに顔もみたいしな、うん。相談があるんだ、違う商売をやりたいんだよね、ままッ、兎に角、来てください、いつがいいかな・・・」いつもながらゆったりと喋る方だ、そつなく相手を持ち上げるところも上手い！
オ、こりゃ仕事にななるなっと直感、即応える「わかりました、ではただいま１時４０分ですが、本日の５時半は如何ですか？」っと畳み掛けると「オッ、早いなあ、いいよ。それが先生のいいところだからな、助かるヨ、じゃ、待ってるからな」っと、先方も即断。
そして「先生、忙しいだろうから少しくらい遅れてもいいよ、酒ってわけにはいかねえが、下の店のコーヒーを用意するから高円寺着いたら電話してくれイ」っと細かな心遣いも忘れない、これだよなア、っと感心。
でと、二件の案件を片付けて、東京は高円寺駅を降りて僅か２分、１階にある笹竹に囲まれた木枯らし銀行高円寺支店を向うに張ってかどうかは知らないが、かの名前と貸金業の看板がエレベータ横のテナント表示にある。
「株式会社不容赦グループ」と行書で書かれ、すげえカッコイイなあ、しかし恐ろしく怖そうな字だゾ。こりゃア、取立てが厳しそうだわい、なんとかの毛まで持ってかれちまう、ってのが十分想像できる。
しかも金と銀のまだら看板、利息高そうな看板だなア、っとか思いながら７階に。
店に入ると、以前とは違い、社員は２人、うち一人が女性という構成だ。奥の部屋に案内されると社長が西側窓を背にしてふんぞり返っている。
開口一番、当職が「いやあ、社長、御記憶に留めていただいて恐縮です。御元気そうですねえ、いやいや」っと言うと顎のしゃくり上がった坊主頭の顔を擡げてゆっくりした口調で「先生こそ、元気じゃねーかイ、いつも若いね、そのデカイかばん、トレードマークだな、フフッ」と。
２、３分間をおいて、向う部屋にポツリと座している高山塚古墳の壁画に出てきそうな眉毛が長く、おちょぼ口したちょこっと年配気な女史社員に「オイ、下の店の茶房「にごり」からコヒー二つたのんで来い」と命令する。でも、なんか不味そうだなア・・・・
さて、貸金業法改正だの、規制強化だのと、いろいろと世間話に花を咲かせて７分ほどたったろうか、会長から要件を切り出してきた「いや、なにネ、大したことではないのだが、今度私が麻雀店を経営しようとおもってね、といっても昔にも経営したことがあったんだがネ、客とのトラブルで嫌がらせがあってサ、止めてしまったんだ。それにもう貸金なんて儲からんヨ」
会長は机から契約書を取出して「今回は御徒町から８分くらいかな、たぶん上野警察の所轄だとおもうが、先生、風俗営業許可の申請、やってくんないのかな？」と地図を広げながら要件を切り出してきたものだ。
待ってました、風俗営業許可は当事務所の得意とするところでもあり、１号から８号のなかでも、そんなに難産のもでもない。
二つ返事で「ハイ、わかました。ただ、用途地域の問題はＯＫですか、また貸主も了解していますよネ」と振ってみると「居抜きだからいいんじゃないのかな・・・たぶん」とは言うのだが、これがいちばん怪しいのだ。
ま、それは、現地調査すればわかることなんで当職は必要書類をその場でパパッと筆記して金比羅会長に渡す。と、一言「いや、俺がやるんじゃないんだよナ、実はその・・・向うにいる彼女、名前はキム・チナペっていうんだがね、ちょっと、面倒見てくんないかな」と言って、いきなり「オイ、キムさん、ちょっとこっちこいヨウ！」と手招きすると、先ほどの女性が入ってきて我々が座っているドッ高そうな黒い皮ソファーの会長の横に白鳥が舞い降りるが如くフワリっと身体を沈める。
東洋人独特の妖艶な感じがするキムさんはやや恥じらいながら、やや紅色がきつい口から「スイマシェン、キムです。ワタシ麻雀できないネ、でもジューギョーインとか会計、やたことあるネ」と色白な手でキーボードでも叩くジェスチャーをしながら可愛らしく喋る。ハアー、日本語はまあまあ、ってところか。
しかし、想うのだ韓国人にしても中国人にしろ、恐ろしく美人だと感服絶え々であっても喋りだすと結構、身振り手振りが拙く、加えてキツイ喋りのかたが多いのは何故かなア〜、ウ〜、っとまあいいや。
で、キム・チナベ続けて曰く「シェンセ、アタシなに必要あるかナ、言テくださいネ、すぐ持てくるあるヨ、ニコ」おっと、この笑顔に目の前の社長はやられたのかなあ〜、などと要らぬことを考え乍ら当職は「えー、っとですね、その前に一番大事なチゲナぺさんの在留資格は？」すると彼女はウフッ笑い、社長をチラッと見遣り、こういってきた「アタシ、日本人配偶者ネ、働く、問題ナイ」
なるほど、じゃ、話は早い、といことで必要物を説明、経営も管理もキムさんだ、が、金比羅社長から出された賃貸契約書を見ると賃借人は株式会社不容赦グループになってるではないか。
ヒャア〜、こりゃ、ちょっと困ったなあ、でも社長には説明せねばなるまいて、このぶんじゃ、先々なにが出てくるかわからんゾ、っということで本日の打合せはまだまだ続くのであった。
続く・・・・請う、御期待。