数寄者石山政義の時空遊泳その87 平成26年初茶の湯のおはなし

(写真は松葉づくし金蒔絵引き杯 目出度い時には上げ底の蔵から引き出して一杯)
今年は1月の仕事初めからバタバタと忙しい
とはいうものの個人的嗜好は別のはなし
ってことで先日、某古美術商からの新春粗茶一服案内に仕事サボっていそいそと銀座まで・・・・
4階のちょっと重たい透明ドアをギイ〜 
っと、いるいる、いつものお店の相変わらずの面々
25年来御付き合いの専務取締役を筆頭に、お目目パッチリ、ロート製薬のPRに抜擢されそうなYさん等とみなさん目利きは当り前ですがいいひとばっかりなのが嬉しい 
さてと、簡略に粗茶一服とは云え、決して粗略な組合せをしないプライドたっぷりのこの老舗の道具は以下のとおり

寄付 大床には狩野探幽画 日の出に探幽独特の青海波は真骨頂  
花入 堂々とした鬼面環付古銅に牡丹花一輪ってのが効いている
本床 昭和切れ(物凄い表具、特に一風に印金、中回しの金欄がたまらない)
花入 青竹(店主ご自慢作とか)に白梅、根締には椿(白梅の高さが絶妙だな)
香合 織部
向付 舟形織部(小品ながら粋なモノ 十客あると欲しいンだがなア)
酒器 金銀鶴蒔絵朱盃 崇山作 (これはイイ 交渉しよう)
釜  松竹梅地紋 姥口 時代 (姥口はなんとなく拙僧には合わないかなア)
茶碗 主茶碗 黄伊羅保(硬いが釉薬がいい)次茶碗に祥瑞茶碗と御本茶碗

てな感じで適切な独断と偏見にまみれた所見を述べたところで早速席中のやりとりをば
真塗小四方膳に向付と夫婦鶴の蒔絵も柔らかく品性高い朱杯を配して一献後、毎年のことながらサラリと薄茶一服
連客は4人、うち御一人は茶事でお手伝いしていただいてる拙僧が到底頭が上がらない御仁K氏
それと2年前の茶事で御一緒した御夫妻茶人、当時、奥方の茶数寄者振りには舌
を巻いたものだった
この度もほんの20分の席なのにその再現を目の当りにしてあらためて恐れ入った次第
そして3年振りに御会いした茶人、拙僧より御年長であるが東京、鎌倉と呼びつ呼ばれつの茶事も然ることながら、銀座だの新橋だのの呑み屋で自慢の杯を持ち出してはニタニタした間柄
勿論、奥方も気さくで素晴らしい茶人、御自宅マンションには二畳台目向切りの茶室を構えておられるし、茶の湯の世界では垂涎の名品をいくつか蔵している
で、昔ばなしに近況だのと話し込むうちに、とんとん拍子で目黒の「ひろ寿司屋」で当然のこと乍ら秘蔵のぐい呑みを持ち寄って一杯やることに・・・・
これも出会いであり数寄者だからこその、「あうん」の呼吸かな
いやいや、正月明けから久し振りの人と人との出会いに感謝!