数寄モノ語り その181 鎌倉雲襄亭にて 寂びと奥高麗茶碗

久し振りに茶の湯の話を・・・

 

         霰釜(栗口)に一文字蓋 茶碗は奥高麗茶碗

夏の雲襄亭では釜掛けは一切しない

1年で言えば4月から11月までといったところ

その間、偶に客人が来訪すれば、所謂水屋からの点て出しで勘弁願ってる

もちろん風炉釜も風情があっていいものだが、なかなか環境が許さない

それには土地なりの理由があるのだ

この冬栢山房は4月から湿気が出る

そして7月、8月をピークに10月いっぱいまでそれは続く

当然に山中に棲む爬虫類、多足動物だのが堰を切ったようにドオーっとでてくる

そのことは前々回のブログでも書きましたが・・・

そんな環境下で茶事でもやってごらんなさいな

それらの輩が茶室の隅に出ただけならまだかわいいもんでネ

懐石食って、酒飲んでいい気分のなか

はたまた濃茶一服点ててクライマックスの真っ最中にだナ

百足だのヤモリだのが天井からバサッと落ちてきたらもう悶絶卒倒は必須

だからやらないのです、キッパリ!

は、兎も角

本日はちょっと時間があったので山頂まで散策したのものだ

そして雲襄亭茶室を開放し、久し振りに風を通してみた

なんとなく気分も乗ってきたんで目の保養にと

即席に茶道具を組んだのがこの写真

釜は霰釜で環付は獅子。ちょっと穏やかな顔つきからして江戸初期

対する茶碗は堂々として茫洋なる桃山期の奥高麗茶碗

井戸、熊川などの高麗茶碗本歌にも勝るものと自負している

もちろん濃茶茶碗でバッチリ

わずかにピンク色した肌に長年愛用されてきた雨漏りがたまらなくいい

高台と裾周りは唐津独特のねっとりとした茶黒い土見せは約束どおり

口辺の絶妙な捻り返しとその力強さに当時の作陶家の技が冴えわたる

高さ9cmの口径14cmといったところ

見込みが広々として深く、底の適度な肉厚さは

この茶碗の重厚感と品の高さを一段と感じさせるには十分な茶碗であった