碧雲山人の時空遊泳　石山政義の新春にキラリ３

鎌倉は碧雲山房内における鎌倉碧水舎道場での居合の初抜きが終わったところで先の続きである床の間飾りを語ってみたいと存じます。

「渡唐天神像」　白と朱の胡粉が鮮やかに残っており室町以前の古画独特の妖しい光彩を放つ　表具の形式は神聖表具　真の行　一文字が青地金襴　中回しは白茶地牡丹唐草紋金襴　天地回しが萌黄地菊桐紋金襴　軸端は水晶という豪華な表具仕立て
玄関内での飾りつけのあとは三畳台目床の間だが、一般の床の間より狭いことを考えると、あれもこれもは重過ぎるということで七号の正月餅を１８センチの中国宋末元初の均窯丸平鉢を台にしてのせる。そして花入はチと、せせこましいということでやめにして、四号瓶酒を右に置き合わせて、床壁にはこの時期に相応しく室町時代に描かれた渡唐天神像、しかも賛は禅僧として、また能書としても知名度が高い愚極礼才（東福寺百四十九世・南禅寺百四十五世）ときたものだから一気に重厚で厳かな雰囲気になって我ながら驚いた次第。
ウ〜ン、そーだ、そのへんの天神様を拝むのなら拙僧のそれのほうが功徳がありそうなものなのにな、と、確信をもって想ったものだ。
さて、台目床が決まったところで改めて謹直な礼を尽くし、今度は山内中腹にある鎌倉碧水舎道場へと向かう。
つづく